ドキュメンタリー・エッセイ・その他
暴力団方面専門のライターが52歳にしてピアノに目覚めた経緯を描いた音楽エッセイの文庫化。タイトルは「ピアノときどきヤクザ」のほうが正しいような気がする。 著者が仕事終わりのハイになった状態で見た映画「マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー」は全編…
黒猫ドラネコ、山崎リュウキチ、藤倉善郎、選挙ウオッチャーちだい、清義明、古谷経衡、菅野完の各氏が寄稿した新書ノンフィクション。 参政党党が躍進するなど、陰謀論と排外主義が跋扈する現代社会の問題点を、危機感を持つ気鋭の書き手たちが詳らかにして…
シジュウカラが意味のある言葉を発していることを発見した動物言語学者による楽しいエッセイ。 生物研究の学生として軽井沢の森でフィールドワークをしていた著者は、コガラの「ディーディーディー」という声に応えるようにカラ類が集まってきたのを目撃、も…
ワニ目画伯が自分の来し方と昭和の出来事をオーバーラップさせて振り返ったエッセイ。各ページごとに画伯独特のカットが添えられている。 戦後、少年時代、学生運動、安保闘争、砂川闘争、過激派、自身の結婚、ちょっと気を惹かれた女性アーティスト、絵本出…
戦後の新宿で一時期隆盛を誇った闇市、尾津マーケットのボスである尾津喜之助を描いた評伝ノンフィクションで。 元は不良少年、任侠と神農(香具師、露天商)の世界に関わり、正業に就いたりしたものの結局香具師一家の杯を貰う。そして、持ち前の行動力、商…
アマゾン、ユニクロ、ヤマト運輸など、大手企業に潜入取材してそのブラックぶりを暴いてきた著者が、その手法を後続者に伝えるべく書き下ろした新書ノンフィクション。 日本ではキワモノ扱いにされがちな潜入取材だが、欧米では大手マスコミが当たり前にやっ…
イラストレーター・文筆家である著者がテヘランで出会った女性たちを活写する紀行画文エッセイ。 厳格な戒律に縛られた男尊女卑社会で、女性はヘジャブやチャドルを身に纏わなければならず、さぞや小さくなって暮らしているのだろうと思いきや、結構たくまし…
翻訳家、エッセイストの村井理子が日常や日々の思いを綴ったWeb日記を単行本化したもの。 短文長文取り混ぜての日常雑記だが、そこは手練れのエッセイストなので短い文章でも読ませる。「兄の終まい」や「義父母の介護」を読んでいると、日記に登場する人物…
著者は翻訳家・エッセイスト。家族をネタにしたエッセイが何冊かあり、身の回りの日常をWeb日記で発表したりしている。本作もWeb日記の連載から介護ネタを選りだしたもの。 琵琶湖沿岸で暮らす著者は、仕事と家庭(高校生の双子がいる)を両立させて頑張って…
インネパとはネパール人が経営する(働く)インド料理店の俗称で、今や各地にある、800円程度でナン食べ放題のインドカレーセットを出すような店のことである。なぜこんなにインネパが増えているのかをつぶさに検証したノンフィクション。 インネパは我が行…
80年代に熱狂して読んでいた椎名誠のアウトドアエッセイ。このところキャンプに興味が湧いてきて、キャンプと言えばそういえばこの名著があったことを思い出した。 椎名誠の会社仲間や友人や親族などで結成された東日本何でもケトばす会(略称東ケト会)が…
著者が祖母を連れてロンドン旅行をした経緯を軽妙に綴った旅エッセイである。スマホが登場しないから20年ほども前のことかもしれない。 身内の集まりで、かつてロンドンで暮らしたことのある著者が滞在のエピソードを語っているうちに高齢の祖母が「私もロ…
イラクの湿地帯(アフワール)を旅した記録である。コロナ禍をはさんで5年ほどのスパンで書かれている。 砂漠のイメージの強い中東だが、イラクには湿地帯があり、古来、犯罪者や反逆者が逃げ込むアジールになっていたという。まさに水滸伝であると興味を覚…
人気のあった暴走族雑誌の「ティーンズロード」元編集長による、当時を振り返ったノンフィクション。ヤクザ専門ライターの鈴木智彦氏のお勧めだったため読んでみた。 レディースをフィーチャーした「ティーンズロード」はSM雑誌の別冊として始まり、当初はさ…
かつて戦前日本の密偵としてラマ僧になりすまし、内蒙古からチベットを放浪してその顛末を「秘境西域八年の潜行」という著書に著した西川一三の旅の記録であり、評伝ノンフィクションでもある。西川は日本の敗戦後もそのまま大陸に残り、ラマ僧に扮したまま…
認知症の義母のことをネタにした「全員悪人」の村井理子女史が推しているので読んでみた。やはり母親の認知症を巡るノンフィクションである。 全員悪人/村井理子 - 本・花・鳥(ほん・か・どり) 著者はドキュメンタリーの映像作家で、両親が元気なうちから…
辺境を旅して様々なルポやエッセイを発表している作家が、若い頃からいかにして各地の言語を習得してきたかをユーモラスに記している。 早稲田大学探検部時代、コンゴに遠征するにあたり、かの地のかつて宗主国言語あったフランス語を覚えようとしてして電車…
美麗島とは台湾のこと。台湾を訪ねながら、かの土地の歴史や風土を思索的に綴った紀行エッセイである。 台湾は、元々は中国の辺境であり、スペインやオランダが植民地にしようとしたことがあったり、日本の領土になったり、戦後は国民党が本土から逃げてきて…
パリで息子とともに暮らす著者が、息子に語りかけるように料理レシピを書き連ねた料理エッセイ。 BSプレミアムで不定期に放送される「辻仁成のパリごはん」という番組でプロはだしの料理の腕を披露しており、楽しく見ているが、それの文章版という感じ。 母…
数十年前、板橋駅前の社宅団地に住んでいたことがあるので中高生の頃は池袋でよく遊んだ。それなりに開けた街だが何となくいかがわしくて、東京のはずれという場末感もあり、そこがまた魅力な街だったと思う。 そういう点から本書に興味を持ったが、そこに描…
大阪、猪飼野を舞台に、在日コリアンの不良少年たちの来し方を回想する昭和30年代グラフィティである。 現在こそコリアンタウンとして賑わう鶴橋界隈だが、当時は貧民窟のような場所だったらしい。在日コリアンが多く住み、暮らしは豊かではなく、粗暴少年が…
韓国人女性二人による同居エッセイ。キム・ハナはエッセイやラジオパーソナリティーやらで活躍する女性、ファン・ソヌはベテラン編集者で、現在は二人共に書いたり動画配信したりしているようだ。 気の合った二人は(同性愛者ではない)、主にキム・ハナの方…
中年以降に小豆島への移住を決め、実際に暮らし始めた様子を綴る移住エッセイ。 東京の住宅の狭さに辟易してきた著者は田舎への移住を考え始めるが、どこにしようかというのが問題になる。小豆島に知人夫婦が移住していたのが契機となり、また隣の豊島にも知…
著名な脚本家である著者が、俳優や演出家など、それまで関わってきた業界の人々(一部に一般人)の思い出を、食と共に語っている。 伯母夫婦が俳優であった家で育った著者は派手な芸能界とは無縁の志向を持っていたはずだが何故か脚本家に。大物俳優、演出家…
私立中高一貫校に通い、高校への進学でキラキラJKライフを夢見ていた著者は、父の赴任によりインドで暮らすことに。インクレディブル・インディアに投げ出され、その混沌ぷりをつぶさに語っている。 本書についてはネットニュースに一節が掲載されていて、そ…
路地(同和地区のことを中上健次に倣ってそう呼んでいる)出身の著者が、四国遍路を歩きながら周辺の路地を訪ね、また、ハンセン病者や乞食など、遍路をしながら生きながらえた人々(職業遍路とか草遍路などと呼ばれる)を考察したルポ。この世の枠組みから…
名女優、沢村貞子が料理を始め家事の細々、着物、人付き合い、仕事などについて語る随筆の名作である。ずいぶん昔に母の誕生日にプレゼントしたことがあったなぁとたまに思い出していたが、職場の隣にある公共施設の図書コーナーに40年前に出版された本がそ…
イギリスのブライトンに暮らす著者(保育士でエッセイやルポのライター)が、アイルランド人と日本人の混血である息子をモチーフに、イギリスの教育や格差や差別や分断をユーモラスに描いた家族エッセイ。ベストセラーが文庫化されたので読んでみたらかなり…
著者は通信社を経営しつつイタリア関係のエッセイを何冊も出しているらしい。文庫の新刊広告で「旅する本屋」に惹かれて読んでみたくなった。 ベネチアで、親切で知識該博な古書店を見つけた著者はその店で何かと買い求めるようになる。そして親しくなった店…
短歌や俳句のバラエティで活躍する村上健志が様々な句会にゲスト参加した記録である。著述は主に編集者が行っている模様。著者の俳句はわりと叙情的で、更に発見があり、詩情を漂わすのが上手い人だと思う。 句作はしないが、鑑賞はそこそこに面白いので本書…