本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

2007-01-01から1年間の記事一覧

ガンダーラ仏

画像はウィキペディアのマルチメディアコモンズから拝借してきたガンダーラ仏。オリエンタルな美しさがあり、とても好きな仏像彫刻です。上はシッダールタ王子だそうで、つまりお釈迦様でしょうか。日本画家の平山郁夫氏はガンダーラ仏関連のコレクションを…

報国寺 庭の石仏

報国寺は竹の庭園が有名で、竹の庭へは拝観料が必要ですが、鐘突堂の背景になる大銀杏やこの石仏がある小さな庭などは入場口の外になり、無料で拝観できます。竹の庭は散々見てしまったので、いつも無料の方で帰ってきてしまう、悪い参詣者です(笑)。この半…

鬼しぐれ 花の小十郎しぐれ剣/花家圭太郎

戸沢小十郎は戦国の気風を残す傾き者の生き残りである。腕は柳生宗家に引けを取らぬほどに立ち、口は嘘・出任せを言わせれば天下一品、度胸も器量も大きく、羽州佐竹家に籍を置きながら大御所秀忠の囲碁指南番を務め、時の老中土井利勝の元には出入り勝手と…

バツイト

バツイチではありません(独り者です!(笑))。本日は、先週抜歯した後に縫合した部分の抜糸でした。歯科のイスに座ったら衛生士のおねーさんが医師に向かって「バツイトです!」と叫んでいまして、そうか、抜糸と抜歯が紛らわしいから「バツイト」と言うの…

歯根歯折?

左上奥から四本目の歯に痛みがあり、グラグラしてきて気持ち悪かったのですが、歯科医で診てもらったところ歯の根が折れて化膿していると言われました(いわゆる歯根破折というのかもしれません)。現在のまま我慢するか、抜歯しか対処法はないということで…

乱世疾走/海道龍一朗

「真剣」に続く第二作が文庫化されたのでレビューなど。因みに上泉伊勢守、柳生宗厳、宝蔵院胤栄は「真剣」の主要人物である。織田信長が世を席巻しはじめた頃、乱世を憂え、世の動きを知りたい正親町天皇の意を忖度し、公家の立入宗継と山科言継は「禁中御…

日本語でなまらナイト しのざき教授のなまらやさしい方言講座/柳川孝子 監修しのざきこういち

2年ほど前に女子高生の間で方言が流行っているということがあったが、その流行に材を採った、方言学者が酒場でうんちくを披露しているような語り口の方言コラム集とでも言えようか。言語学者が監修者として名を連ねているところを見ると、本文を執筆してい…

遊行寺

時宗総本山遊行寺は車で行ける距離にありまして、広大な敷地内に色々見どころがあるため、時折訪ねています。境内の大銀杏が圧巻。人が手をつないで取り巻いたら3〜4人は必要なのではないでしょうか(樹齢は300年〜700年と諸説あるとか)。今頃にき…

虹色天気雨/大島真寿美

語り手市子の友人である奈津が、「夫が蒸発して探しに行くから二日ほど娘の美月を預かってくれ」と子供を置いていったために、市子とその周辺の友人たちは奇妙なシーズンを過ごすことになる。やや生意気な子供に振り回されつつ暖かい視線を注ぐ大人たちは、…

家電三国志?(笑)

ビックカメラがベスト電器と業務提携するとか、「それならうちも」とヤマダが手を挙げたとか、家電量販店の合従連衡のニュースが飛び交っています。ヤマダは店舗数も多いですし、業界一位というのも納得するのですが、第二位の関西のエディオンてのは、この…

西村寿行 追悼

先月に亡くなった人気作家である。70年代〜80年代中盤にかけてが最盛期だったと思うが、バイオレンス、活劇、ハードボイルド、動物小説などはひっくるめてハードロマンと呼ばれ、徳間書店から大量の新書版叢書「西村ハードロマンシリーズ」が出版されていた…

仮面風流

新聞の神奈川版に出ていたのですが、鎌倉の御霊神社で仮面風流を今に伝える面掛(めんかけ)行列があったとか。伎楽面などをかぶっての行列はそれだけで不思議なイメージがありますが、仮面風流などと言われた日には中世ミーハーの血が騒ぎます(笑)。 http://w…

はてなの茶碗by桂南光

NHK教育「日本の話芸」で、桂南光演じる「はてなの茶碗」を放送していた。 清水寺の茶屋で安茶碗に「はてな」と首をかしげている御仁がいる。有名な茶道具商「茶金さん」である。 そばで休んでいた油売りが、茶金さんが「はてな」と言った以上なにがしかの値…

応為坦坦録/山本昌代 

葛飾北斎の娘・お栄を主人公に、奇天烈な親子の日常を描いた時代小説。北斎及び「百日紅/杉浦日向子女史」ファンの長尾武之介さんに教えてもらったもので、見事に百日紅な感じだ。父親を鉄蔵呼ばわりする破天荒な娘は、父親北斎からオーイとしか呼ばれないの…

BESSA R4A

コシナは普及版レンズのメーカーであり、カメラ機材のOEM提供などを行っている会社ですが、各メーカーが銀塩カメラから撤退する中、銀塩に対して並々ならぬ愛着を見せており、フォクトレンダーというドイツの光学メーカーのブランドでBESSAというシリーズを…

アナンシの血脈(上・下)/ニール・ゲイマン 

不器用で冴えない大男ファット・チャーリーには普段疎遠にしている父親がいる。この、愉快でおしゃれで女好きで傍迷惑な道楽者の父親が亡くなったという知らせがあり、葬儀に赴くと(ここですでにファット・チャーリーは大間抜けさを披露してくれる)、昔の…

からくり儀右衛門

幕末のからくり人形の名手 からくり儀右衛門こと田中久重の弓曳童子。 以前テレビで見たことがありますが、この的に矢を当てる人形は、何本かに一本は失敗するように仕掛けがされているそうです。おそらくぜんまいと歯車の複雑な組み合わせによるものなので…

伝統の朝顔

千葉県佐倉市の国立歴史民族博物館に、くらしの植物苑という一画があります。博物館サイトによると「くらしの植物苑は、生活文化を支えてきた植物を系統的に植栽し、その理解をより深めることを目的として、博物館の南東に位置する旧佐倉城の一郭に開設され…

丑三つの厨のバナナ曲るなり/坊城俊樹

著者は高浜虚子の血を引く俳人で、俳誌「花鳥」編集長である。俳句の保守本流にいながら、風雅な花鳥諷詠のみを教条的に主張する俳壇に懐疑的な目を向けているのが面白い。著作名になっている句自体かなり奇をてらった感があるが、気分は出ているし楽しい。…

紙の迷宮(上・下)/デイヴィッド・リス 

18世紀初頭のロンドンで、異教徒として蔑まれるユダヤ人の支配する金融をモチーフに、人々の様々な思惑が絡み合った時代ハードボイルドである。元ボクサーで、盗賊捕獲人、盗品探し、その他もめ事解決を生業としているベンジャミン・ウィーヴァーは、ユダ…

凶刃/藤沢周平

用心棒日月抄シリーズ第4弾は十四年の歳月を経て後の物語である。幕府隠密とのいざこざから将軍に嫌みを言われた藩主は、藩内隠密組織嗅足組を解散するよう指示、そして江戸詰になる青江又八郎に、江戸嗅足組への指令が託される。「用心棒日月抄」「刺客」…

天切り松闇がたり 第四巻 昭和侠盗伝

警察署も留置所も刑務所もフリーパス、歴代警視総監が厚遇する伝説の怪盗・天切り松が、往事の活躍を物語る痛快ピカレスクロマンの第四巻。松蔵は、ろくでなしの父親に9才で、東京中の犯罪者に一目置かれる目細の安吉親分に売られ、以来、手下になっている…

産霊山秘録/半村良

ハルキ文庫から出ていたものを二十数年ぶりに再読。雰囲気に古くささは感じるものの、やはり飛び切り奇想天外で面白かった。古代、天皇より上に位置し、特異な能力を誇ったヒ一族の末裔は、朝廷と世の中の平和を希求する勅忍となっており、乱世を収めるのは…

放擲〜

読んでいた二冊組時代小説の下巻に入ったところで、あまりの煩雑さに放擲してしまった。冒頭はスリリングで面白かったのである。ある大藩に仕掛けられた秘訓を巡り、二人の権力者がひそひそ話をしているのだ。これが発動して役に立つのは五十年後か百年後か…

夜は短し歩けよ乙女

クラブの後輩(黒髪の乙女)に思いを寄せる男と、黒髪の乙女が交互に語り手になりながら、妖しげな京都の町やキャンパスで繰り広げられる冒険をコミカルに描いたファンタジー風青春小説でもあろうか。黒髪の乙女は天真爛漫なお嬢様風の語り口だが、相当に素…

たば風/宇江佐真理 

このところ松前藩がらみの著作が多い著者だが、この短編集にも「蝦夷拾遺」という副題が付いている。「たば風」 許嫁が中風に倒れたために他家へ嫁いだまなだが、藩内が二つに割れ、まなの夫が藩主側近であったことから危機にさらされることになる。夫は城に…

カンムリシロムク

熱意あるチャレンジャーを採り上げる「夢の扉」という番組で、よこはま動物園ズーラシア職員による希少鳥類・動物の繁殖の取り組むについて放送していました。ズーラシアの敷地内に横浜市繁殖センターがありまして、動物園は市の外郭団体による運営ですが、…

孤剣/藤沢周平 

「用心棒日月抄」に続く時代ハードボイルドシリーズ第二弾。藩内の内紛に巻き込まれて脱藩せざるを得なかった青江又八郎の帰参が叶って間もなく、藩主毒殺に関わった家老・大富丹後の親族である大富静馬が一味の書類を持って逐電、公儀隠密にも内紛が漏れて…