本・花・鳥(ほん・か・どり)

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特攻服少女と1825日/比嘉健二

人気のあった暴走族雑誌の「ティーンズロード」元編集長による、当時を振り返ったノンフィクション。ヤクザ専門ライターの鈴木智彦氏のお勧めだったため読んでみた。

 
レディースをフィーチャーした「ティーンズロード」はSM雑誌の別冊として始まり、当初はさほど部数が上がらなかったが、徐々に売り上げが伸びて結構な部数を出すようになったようだ。レディースに目を付けた編集長の慧眼と言うところか。


単に暴走族が目立つだけの雑誌ではなく、読者の多くにはヤンキーに憧れる一般少年少女もいたようで、お悩み相談の投稿コーナーがあったり、かつての深夜放送を思わせる展開だったようだ。30年ほど前のこととて、雑誌としては最後の黄金時代だったかもしれない。


当時、レディースのヘッドとして人気だった女性が中年となり、非行少女をサポートする活動をしていたりするのが興味深い。


今時の不良少年たちについても若干触れているが、田舎のヤンキーに受けの良かったティーンズロードにとって都会の不良たちは不気味な存在でもあり、ファンキーなヤンキー文化はもう過去のものなのかと思ったりする。


メインカルチャーから外れていても人気を誇ったメディアの内部が窺い知れる、ノスタルジックなノンフィクションである。