本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

一枚摺屋/城野隆

幕末の大坂、一枚摺(瓦版)屋の跡取り文太郎は、放蕩が祟って勘当されているが、文才は父親譲りで、戯作で身を立てている。目撃した米屋の打ち毀しを記事にし、それを父親が一枚摺にしたところ、ご政道批判と言うことで奉行所に引っ張られ、責め殺されてし…

ウォータースライドをのぼれ/ドン・ウィンズロウ

元ストリードキッドの減らず口叩き探偵ニール・ケアリーシリーズ第4弾。実に6年ぶりの刊行らしい。またもや義父ジョー・グレアムがトラブルを運んで来るという幕開けだ。レストランチェーンを持ち、ケーブルテレビ局で良質の家族向け番組を放送しているカ…

Y市の橋

松本竣介という画家の絵が好きだ。センチメンタルでメルヘンで、暗い抒情を漂わせる作風である。鎌倉の鎌倉県立近代美術館で作品展があり、見に行ったことがあるが、その中で「Y市の橋」という作品が記憶に残っている。Y市とは横浜市のことだが、先日来、時…

大江戸美味草紙(むまそうし)/杉浦日向子 

江戸から来た人((c)和芥子さん)が綴った江戸グルメの数々。季節ごとの食べ物川柳を引用しながら、食べ物を粗末にできなかった時代の食の喜びを情緒たっぷりに伝える楽しい本だ。現代とは違う価値観なので、目から鱗の知識の数々が面白い。 数の子やサンマ…

電子の星 池袋ウェストゲートパーク4/石田衣良

池袋とのストリートを駆け抜けるマコト(果物屋とトラブルシューターとフリーライターの兼業)の活躍を描くシリーズの4作目。陰惨な事件を追っている割りには、希望を感じさせるのは毎度のことだ。 「東口ラーメンライン」 池袋を仕切るチーマーのヘッド崇…

こんちき/諸田玲子 

あくじゃれ瓢六の続編である。反骨精神の小悪党が、意気に感じて八丁堀の冴えない同心に協力するという時代連作だ。前作は正直なところ時代小説的な情感に乏しく、評論家の北上次郎氏の評価ほど良いとは思えなかったのだが(赤川次郎のユーモアミステリーの…

スキッピング・クリスマス/ジョン・グリシャム

娘が海外ボランティア活動に身を投じてしまった会計士夫婦は、娘のいないクリスマスに耐えられず、またクリスマスにおける無駄な出費に辟易し、カリブ海クルーズに出る決意をする。クリスマスをすっぽかすこと(スキッピング・クリスマス)にしたのである。…