本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

2005-12-01から1ヶ月間の記事一覧

纐纈城綺譚/田中芳樹 

戦前の娯楽作家・国枝史郎に「神州纐纈城」という幻の名作があることは知っていたが未読。「神州纐纈城」の結末が物足らないと、田中芳樹が自分で書いてしまったものが本書である。元々「宇治拾遺物語」にある、留学僧円仁の逸話らしい。唐の宣宗の御世、人…

絶海にあらず(上・下)/北方謙三

平安時代、平将門と呼応するように瀬戸内海で叛乱を起こした藤原純友を描く歴史長編。藤原北家の傍流に生まれた純友は、任官には興味がなく、腕を磨きながらあちらこちらを旅するような無頼の生活を送っていたが、北家の氏の長者である忠平・良平兄弟を助け…

青い空/海老沢泰久

幕末・明治初期の宗教政策に翻弄される青年を主人公にした時代小説。同時に当時の宗教政策のいい加減さを綿密に描いていて、司馬遼太郎の手法を思わせる。小説以外の情報が羅列されて、その辺やや鬱陶しいが、新しい知識を得ることが出来た。また、青年の流…

魔法飛行/加納朋子

「ななつのこ」続編。女子大生入江駒子の手紙によって謎が提示され、謎解きの返信があるという形は「ななつのこ」と同様だ。今回もあまり物騒な事件はなく、楽しく優しい世界に仕上がっているが、張り巡らされた伏線の快感と、時々挿入されるストーカー的な…

真剣―新陰流を創った男、上泉伊勢守信綱/海道 龍一朗

ブログに掲載済みだが、新潮文庫の新刊に入ったので再掲。 新陰流を創始した上泉伊勢守信綱の生涯を描いた時代小説。自分的には2004年度のベスト3(順位なし)に入る作品なのだが、世間的には今ひとつ評価が低いのが惜しまれる。上州の小領主の次男として生…