本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

代書屋/柳家権太楼

無学で騒々しい依頼人と無愛想で慇懃無礼な代書屋との掛け合いが笑いを誘う落語である。柳家権太楼については多くを知らない。20年ほど前に「らくごin六本木」という深夜番組があり、それで何度か見たことがあるくらいだったが、ここまではじけた芸風だっ…

ひとつ灯せ/宇江佐真理 

何だかよく分からない時代ホラーミステリーという感じである。主人公の平野屋清兵衛は料理茶屋を営んでいるが、息子に店を渡して隠居した頃から徐々に衰弱し、あわやのところにまでに至るが、幼なじみの蝋燭問屋伊勢屋甚助が読経することで死に神を追い払っ…

らくだ by 桂米朝

動画サイトで「らくだ」という落語が聞けないかと思って探しましたら、ニコニコ動画にアップロードされていました。らくだというあだ名のやくざな男、らくだと同類の兄貴分、実直な屑屋が織りなす不気味なドタバタをブラックに描いた名作で、「落語とは人間…

東京物語/奥田英朗 

昭和34年生まれの田村久雄が名古屋から上京し浪人生活を送り初めた1978年から、バブル期のコピーライターとし活躍している1989年までのある一日を取り出し、恋や成長を描いた連作青春小説。 自分とほぼ同年代の作者が関わってきた時代背景にはとて…

きのこの収穫祭

母が生協の宅配で「きのこの収穫祭」なる椎茸栽培セットを購入しました。有機質の人工土壌(菌床)に椎茸金を植え付けたもので、ビニールを被せておくだけで椎茸が出てくるようなことが説明書にありましたが、それらしい物は見られず半信半疑。しかし、届い…

鬼平犯科帳スペシャル 引き込み女

wikipedia:鬼平犯科帳 昨日、連続時代劇として放映され好評だった「鬼平犯科帳」のスペシャルが放映された。原作者の池波正太郎が亡くなり、新作が書かれることはないので、これ以上の放送はないかと思っていたが、たまにスペシャルの放送があると非常に嬉し…

鴨川ホルモー/万城目学

京都大学の新入生たちが妖しげなサークル京大青龍会にスカウトされ、主人公の安倍は、タダメシのためのみに新歓コンパに出かけていくが、高貴な鼻を持つ女性に一目惚れし、サークルに入ることを決意。そして妙ちきりんなドタバタの幕が開く。京大青龍会は式…

十三夜

本日は十三夜らしいです(年によって違うんですね)。十五夜の満月だけを見るのは「片見月」と言ってよろしくないとかの話を知りまして、ベランダにて月見撮影を敢行致しました。今まで三脚を持っていなかったものですから、月の写真も上手く撮れなかったの…

東京日記2/川上弘美

日記エッセイ「東京日記」http://d.hatena.ne.jp/suijun-hibisukusu/20081007/p1の第二弾で。おかしさ、シュールさ、切なさに磨きがかかり、吹き出してしまう描写も多々。短い数行にズバッとドラマを込めるあたり、やはり手練れだ(笑)。 著者の母親が「私は…

東京日記/川上弘美

雑誌「東京人」の連載。 日常におけるやや突拍子もないことを短文にまとめているが、5分の4は本当のことだそうである(笑)。小説の、本筋とは関係ない寓話的部分を抜き出したような感じだが、それだけで掌編小説にもなっている。 歩道橋の上で出会った知人…