本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

2006-12-01から1ヶ月間の記事一覧

黄金の華/火坂雅志 

徳川幕府草創期に、貨幣鋳造を司る金座銀座を差配した後藤庄三郎を主人公とする歴史小説。この人については、武士なのか商人なのか職人なのか今ひとつ良く分からなかっただけに興味深く読んだ。庄三郎の父親は斎藤道三に滅ぼされた長井家の武士で、浪人した…

少年時代/池永陽

郡上踊りと清流で有名な郡上八幡を舞台にした少年小説である。 6年生までに高い橋から川へ飛び降りられたら一人前という因習がある町で、主人公の良平は中1になってもまだ飛べずにいる。彼の回りには、気の良い友人たち、優しい姉、個性的な教師がいて、淡…

時の“風”に吹かれて/梶尾真治

カジシンお家芸の時間物、ドタバタ、ホラー、ショートショートなど、さまざまな作品が詰め込まれた短篇集。あちこちに発表した物を再編集したらしく、作風がバラバラだが、だからこそこの作家の多才さが浮かび上がった気がする。以下、印象に残った何編か。…

光文社古典新訳文庫版「飛ぶ教室/エーリヒ・ケストナー」について

光文社古典新訳文庫版の「飛ぶ教室」について思うところを書いてみました。あの翻訳が気に入っている方、これから読んでみようと思っておられる方はお読みになりませぬようお願いいたします。 子供の頃からの愛読書だが、文庫本がなかなか入手出来ず、大人に…