本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

フルーツポンチ村上健志の俳句修行/村上健志

短歌や俳句のバラエティで活躍する村上健志が様々な句会にゲスト参加した記録である。著述は主に編集者が行っている模様。著者の俳句はわりと叙情的で、更に発見があり、詩情を漂わすのが上手い人だと思う。


句作はしないが、鑑賞はそこそこに面白いので本書も面白く読んだ。句会も様々で、河童や宇宙人など架空のものを読む尻子玉句会やら無頼派を気取る新宿屍派やらホトトギス系列の正統句会やら。


村上健志が俳句タレントとして出演する「プレバト!」は、以前は面白く見ていたが、選者の夏井いつきの好みが一方的に主張されるので鼻白むようになってしまった。梅沢富美男そのまんま東を重用する好みも受け入れがたかったし。その点、村上健志の作品はわりと好きだった。


何ヶ月か前にネットニュースのインタビューで見た内容では「お笑いの世界もどんどん若い人が入ってきて、あと数年で押し出される危惧を持っていたが、コロナ禍でそれが一気に進んでしまった。今は俳句で生き残るしかないと思っている」的なことだった。思わぬところに才能があったものだな。


巻頭句から幾つか。

靴褒めてあげられた距離初明り
去る君の汗に貼り付くソファーかな
夕涼やつむじにチョップそっと乗せ

このあたりはウザキャラ満開と言った感じか(笑)。


歴代の君らに貸していたパーカ
鞄からグミの小袋新社員
うどん屋の小さき聖樹に芥かな
生ハムじゃないハムで呑む三日かな


ユーモアと抒情がない交ぜになって楽しい。