本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

語学の天才まで一億光年/高野秀行

辺境を旅して様々なルポやエッセイを発表している作家が、若い頃からいかにして各地の言語を習得してきたかをユーモラスに記している。


早稲田大学探検部時代、コンゴに遠征するにあたり、かの地のかつて宗主国言語あったフランス語を覚えようとしてして電車で知り合ったフランス人女性に声をかけて生のフランス語を習得しようとしたのを皮切りに、コンゴ地域の共通語であるリンガラ語に手を出し、南米地域を旅するためにスペイン語ポルトガル語、更にゴールデントライアングルの麻薬地帯に潜入するためにタイ語ビルマ語、シャン語、ワ語など東南アジア言語にも手を広げている。


日本語教師の経験もないのにタイでは女子大生相手に日本語講師を務めたり、反政府武装勢力と親しくなったり、その活動は言語への興味同様に波乱万丈で、興味の持ち方、広げ方のパワフルさに恐れ入る。


著者が果たしてどの程度にさまざまな外国語をモノにしているのか不明だが、語学習得の書として、また辺境の旅本として興味深かった。