本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

北條龍虎伝/海道龍一朗

後北條三代目・氷龍(こおりのりゅう)と呼ばれる北條氏康と、義弟に当たる焔虎(ほのおのとら)・北條綱成の二人の成長と友情と苦闘を描く歴史大作。前作の惡忍は、これまでの高潔な登場人物が心地よかった作品と違ってやや違和感があったが、今作は今まで…

歌川国芳

NHK教育・知るを楽しむ「ギョッとする江戸の絵画」は、岩佐又兵衛(荒木村重の息子である)、葛飾北斎、伊藤若冲など、奇想の画家を美術史家の辻惟雄が案内するもので、最終回は歌川国芳だった。怪奇・猟奇や色鮮やかな豪傑、役者絵など、さまざまな絵が残っ…

入江泰吉

昨日、テレビ東京系列の「美の巨人たち」で採り上げていた入江泰吉は、大和路の美しさを撮り続けた写真家である。焦点を当てていたのは「斑鳩の里落陽」という作品だが、法隆寺と夕日と雲のコントラストが、胸を締め付けるような郷愁を醸し出している。奈良…

惡忍/海道龍一朗

飛び加藤の異名を取る超絶的な忍者・加藤段蔵を主人公にした時代ハードボイルドと言うところか。海道作品と言えば、「真剣」「乱世疾走」など、高潔な好漢たちを主人公にした痛快時代小説という感じだったが、新たな作風への挑戦か、或いは悪辣で虚無的なヒ…

逃亡くそたわけ/絲山秋子

福岡の精神病院を逃げ出した男女が、九州を縦断するような逃避行を繰り広げる。芥川賞を受賞した絲山秋子の直木賞候補だが、このタイトルを見た時にはぶっ飛んだ(笑)。躁鬱病の主人公(女性・20才)は、強烈な副作用に襲われるテトロピンの服用が嫌さに…

フランシスコ・デ・スルバラン

11/4の土曜日、テレビ東京系列の「美の巨人たち」という番組ではフランシスコ・デ・スルバランというスペインの画家を採り上げていた。1600年代くらいに少しだけ活躍した宗教画家であるらしいが、その後、時代に取り残されたように忘れられていったとい…

マチルダ  ボクシング・カンガルーの冒険/ポール・ギャリコ 

天才的ボクサーのカンガルーを巡る、愛すべき愚かな人間たちを綴ったコメディーである。三流芸人をナイトクラブに斡旋している芸能エージェントのソロモン・ビムスタイン(ビミー)のもとに、マチルダという名のボクシングをするカンガルーを連れた元英国チ…