本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

2008-01-01から1年間の記事一覧

怪奇の国ニッポン/荒俣宏

博覧強記の怪奇マニアが、好奇心のままに怪奇を求めて日本中をルポして歩いた記録。週刊プレイボーイに連載されたものなので堅苦しさはなく、気楽な探訪ルポだが、妖怪・珍奇・稗史好きにとっては何ともたまらない内容である。 新日本妖怪巡礼団一行は、江戸…

アキバという公界

ちょっと前のことですでに釈放済みになっているが、オタクの聖地で、過激(お下劣)なパフォーマンスで耳目を集めていた自称グラビアアイドルが逮捕されるというニュースがあった。確かに、アニメキャラやメイドなどのコスプレーヤーがが目立つ格好で歩行者…

徳川三国志/柴田錬三郎

江戸幕府の体制が固まり始めた三代将軍家光の時代に、改易などの厳しい取り締まりで不平分子をつぶしてきた松平伊豆守信綱(知恵伊豆)、巷にあふれる浪人を糾合して牙を研いでいる由比正雪、戦国気分を引きずり、我こそは将軍位を継ぐべきだと考えている紀…

はじめての後方互換モードの怪(笑)

自サイトを開設してそろそろ3周年になりますが、トップページにいろいろなバナーを貼りまくった結果、何だかゴチャゴチャして見にくくなってきたので、リニューアルを決意しました。所属する団体のサイトも管理しているヘナチョコウェブマスターとしては、…

おひで/北原亞以子

慶次郎縁側日記シリーズ第三弾。今回も、地道に実直に生きている人間の陥るちょっとした罠や、わずかな幸せを願う庶民の哀歓を情緒たっぷりに描く。 慶次郎の養子晃之助旦那も伝法な同心ぶりが板に付いてきて、親父同様の粋な裁きをするようになっている。浮…

最後の犬山城主

以前にこの訃報を目にしまして、犬山城主で成瀬と来れば おそらく尾張藩の付家老成瀬隼人正の 子孫なんだろうなぁと思っていたらやはりそうでした。 犬山藩となったのは維新後で、それまでは藩主ではなかったんですね。 http://www.asahi.com/culture/news_c…

アジアパー伝/西原理恵子・鴨志田穣 

若い頃に東南アジアでフォト・ジャーナリスト放浪暮らしをしていた夫が思い出を語り、鬼才漫画家の妻が夫を肴にして思いっきりいたぶっている夫婦共著の旅ルポである。過激な夫婦漫才という感じだろうか(笑)。夫は、自分自身をアルコール・薬物まみれのダメ…

頑張れ!山中教授

京大の山中教授のグループが開発した万能細胞(iPS細胞)に期待がかかっていますが、なんとバイエルがヒトiPS細胞の特許出願をしているのではないかというニュースが・・・。山中教授は、企業が特許を独占して再生医療コストが高騰するのを防止したいがた…

チャーリーとの旅/ジョン・スタインベック

アメリカを代表する作家の一人である著者が、老犬シャルル・ル・シアンと共に1960年のアメリカを自動車で旅した記録。変貌を遂げつつあるアメリカの現実が生々しく語られているが、老犬チャーリーの描写が場を和ませている。フランス生まれフランス育ち…

夜が終わる場所/クレイグ・ホールデン 

「リバー・ソロー」など、思索的な文学ミステリーで人気の作者による警察小説。アメリカ中西部の町でタマラという少女が失踪する。語り手であるマックス・スタイナーは、相棒のバンク・アルバーと捜査に当たるが、バン>クには、数年前に義理の娘ジェイミーが…

日暮らし/宮部みゆき

怠け者だが温情があって有能でもある飄々とした定町廻り同心井筒平四郎と、義理の甥っ子で、超絶的な美貌と頭脳を持ちながらもどこか滑稽な風情もある弓之助のコンビが、大店の暗い過去にまつわる事件を解いてみせた「ぼんくら」に続く長編。各短編が大きな…

ねこカフェ

ねこキャバクラについては、以前に武之介さんに教えて頂きましたが、昨今はねこカフェというのもあるんですね。ニュース番組の特集ネタになっていましたが、可愛いねこさんたちが接客してくれて、もう目を細めまくりの小父さんなんかもいました(笑)。で、検…

ある本を放擲

新聞に、とある地方出版社が売り出した中年作家のことが出ていまして、 ちょっと興味があったので図書館で借りてみましたが、 マチズモと嘆美と自己陶酔が混ざったような文章が受け付けられず、 2ページ読んだところで放擲しました。 この文章の感触は誰か…

ヒヨドリ

先日、庭の梅の木に見知らぬ鳥が来ており、慌ててカメラを取りに走りまして、何枚かプログラムオートで撮影しましたら、枝の間から出てきて全身がきれいに撮れているのが4枚ありました。ムクドリではなし、ハトでもなし、何の鳥かと思って検索して調べたと…

MCS

ベストセラー「KYな日本語」の中に「MHZ(まさかの匍匐前進)」なる略語があるそうで、どんな使い方をするのかは一向に謎ですが、ニュアンスが可笑しくて何となく笑ってしまいます。「まさかの・・・」は何にでも使えそうで魅力的ですし・・・。 先日、…

くわがたくん1号

昨日、念願(?)の入れ歯が出来てきました。歯科医の言うところによれば「入れ歯というのは食べやすくするものでも、しゃべりやすくするものでもなく、残った歯並びを変えないためのものである」ということで、認識を新たに致しました。とは言え、大きく開…

みずうみ/いしいしんじ

いしい作品と言えば「麦ふみクーツェ」「プラネタリウムのふたご」のような作品の、悲惨で滑稽でハートウォーミングな作風が魅力だったが、今作はかなり違っている。新機軸を開こうとしたのかもしれないがどうもとっつきにくい。発表誌が「文藝」ということ…

霾普段はお目にかからないような漢字ですが、「霾」または「霾る」で、つちふ(る)と読みます。昨今何かと話題の黄砂のことです。霾は季語になっていまして、季節の情緒という感じで使われていますが、健康被害をもたらすなど、今時は迷惑この上ないようで…

再会 慶次郎縁側日記/北原亞以子

元八丁堀同心が関わる事件を飄々と綴る、慶次郎縁側日記シリーズの第二弾である。相変わらず山口屋の寮番として飄々と暮らしている慶次郎だが、そういう男にこそ妙な依頼ごともうってつけなのか、もめ事の方からやってくる。だが、ほとんどの事件の解決に慶…

備前焼

このところあまり見なくなっていたNHK教育「美の壺」ですが、昨日は備前焼を採り上げていたので、焼物好きとしては見ないわけにはいきません。備前焼は、現在の岡山県伊部あたりで、中世より壺、瓶などの生活雑器が焼かれていて、茶の湯が興って茶陶も作…

仏事あれこれ(7)喝!

父の葬儀に関して思い出したのですが、よく「引導を渡す」と言いますね。↓ウィキペディアより 1 仏教語。衆生を導き、仏道の正法に引き入れること。 2 1から転じて、仏教における葬送儀礼の1つで、葬儀において僧侶が死者に対して読経を行った後に読誦され…

比類なきジーヴス/P・G・ウッドハウス 

おそらく戦前と思われるイギリスを舞台にしたユーモア小説で、イギリスではかなりの人気作品らしく、シリーズ化されている。語り手は貴族のどら息子バートラム・ウースター(バーティ)。一応オックスフォードを卒業しているらしいが、定職もなく遊び暮らせ…

潜入ルポ アマゾン・ドット・コム/横田増生

「アマゾンドットコムの光と影」改題。 かつて物流業界紙の記者だった著者が、書籍ネット通販大手アマゾンの物流センターにアルバイトして潜り込み、アマゾンの急成長の秘密を探ったルポルタージュ。 アマゾンは秘密主義の会社だそうで、取材のガードは固く…

鎮火報 Fires's out/日明 恩(たちもり めぐみ)

生意気な若き消防士を主人公とする青春ハードボイルド。この作家は制服組公務員を主役にするのが好きだなぁ。父親が殉職した消防士である雄大は、ヒロイズムに陶酔して命を落とした父親を疎んでいるが、成り行きで、楽して得する公務員である消防士になり、…

メタボ〜

逆流性食道炎と偏頭痛持ちなので、隣接市内にある耳鼻科(気管食道科・内科・小児科も標榜)で薬を貰っています。ジェネリックなので大変お安いのがありがたいのですが、とうとう高血圧を指摘されてしまい、血圧手帳まで出てしまいました(降圧剤は出ていま…

ミネストローネもどき

高校生の頃ハンバーガーショップでアルバイトをしておりまして、そこのメニューにミネストローネというトマト味の野菜スープがありました。これがなかなか美味だったので、家でも作るようになりました。本格的にはマカロニなどのパスタ類が入るようですが、…

傷 慶次郎縁側日記 /北原亞以子

単行本で出た当時に一度読み、凄く面白かったのだが、続刊ラッシュに追いつけなくなって挫折。文庫化されたものを再読したがやはりとても良い。全体にはユーモラスで人情豊かで少し苦みが利いた連作時代小説だが、最初の一編だけがむやみに哀切である。 南町…

カンタン刑

式貴士は、80年代にシュールでグロテスクで奇抜でセンチメンタルな、優れたSF短編を発表していた作家で、90年代になってからは名前を聞かなくなっていましたが、このほど光文社文庫の新刊に収録されました(内容は新編集のようです)。もう20年ほど前に読ん…

芸能人は歯が命

抜歯&初めての入れ歯プロジェクト進行中ですが、入れ歯になる空隙の隣の歯(神経を抜いて治療済み)の歯に痛みが生じ、歯科医師より「抜髄しているのに痛みがあるのはおかしい」という指摘がありました。おそらく治療したもっと先の方で炎症を起こしている…