SF・ファンタジー
幼い頃に両親を亡くした三つ子の榎土三兄弟は超能力を持っている。長男の梵天は意識を別の所に潜らせ、次男の梵地はあらゆる言語を聞き取ることが出来、三男の梵土は対峙する相手の次の行動を読むことが出来る。そして、この力を持っていることによって不思…
沖縄を舞台にしたファンタジー。 主人公は30代の青年。小学生の時に母を失い、再婚した父と共に沖縄に移り住んだ。休暇を取り、久々に沖縄に帰った「ぼく」は、義母と共に三日間の沖縄巡りをすることに。その過程で幼い日を思い起こし、不思議にも遭遇するこ…
コチドリかイカルチドリの幼鳥だと思うのだが(どちらも確認している遊水地付近の河川)、しかとは分からぬ。よってSP。 今週のお題「SFといえば」 若い頃はSF者で色々読んだけど、一番好きだったのは「夏への扉/R・A・ハインライン」。時間移動をテーマに…
転生をテーマにした恋愛ファンタジー(タイトルは佐野洋子の名作みたいだが)。 女子高生の美桜は100万回転生していると言う記憶を持っており、すっかり人生に倦んでいて投げやりに生きている。ある日、どうでもよくなって校舎から転落するが、幼なじみの洸…
「保健室のアン・ウニョン先生」「屋上で会いましょう」などファンタジー作品が多い著者だが、本作は真っ向勝負のSF短編集。指だけがタイムスリップしてしまったり、巨大ミミズが宇宙船でやってきて現代文明を壊滅させるとか、ぶっ飛んだ設定で読ませるが、…
ナチスが勃興し脅威を感じているイギリスを舞台に、孤独な少年が異世界で成長していくホラーファンタジー。 主人公のデイヴィッドは母親が病死して悲しくて堪らない。しかし、父親はすぐに再婚相手を見つけ、弟も生まれてしまい、デイヴィッドは孤独な悲しみ…
本作に収録された四作品しか発表していない幻の作家らしい。森見登美彦との対談が収録されているので、ユーモアとか幻想方面の作家かしらんと思って読んでみた。 「佐伯さんと男子たち」鹿と戯れるのが好きな佐伯さんに好意を抱いてしまった三人のアホ中学生…
文庫化にて再掲、と言う名のリサイクル。 何とも血なまぐさい時代ホラーだが、妙にカタルシスのある快作。耽美的な文体が一昔前の時代小説を思わせる。 山人と里人の間に生まれた十兵衛は、親を知らないまま山人のなかで育つが、長じて里に出ると、熊本藩剣…
主人公の夏目環は家族と早くに死に別れ、どちらかと言えば死の方に親しみを感じているような若い女性である。人付き合いも苦手だったが、同じように死の影をまとう自転車屋の紺野さんと親しくなる。二人を繋いでいた猫が亡くなり、紺野さんは故郷へ戻ること…
上田誠の戯曲「サマー・タイムマシン・ブルース」を原案に、物語世界を著者の「四畳半神話体系」の登場人物に当てはめて時間旅行のドタバタを描いたSF。 森見作品ではおなじみのおんぼろアパート下鴨幽水荘に暮らすのは、自分を常識的な人間だと考えているが…
流行りの韓国文学の一冊で、軽いファンタジー。私立M高校に勤める養護教諭、アン・ウニョンは見えない存在が見える。そしておもちゃんの剣と銃をふりかざし、邪悪なものや高校生のエロエロ想念や悪い因縁などをぶった切っていくのである。 現れる現象は様々…
中国SFの話題作である。 冒頭、高名な物理学者が紅衛兵につるし上げられる場面で物語の幕が開く。学者の娘、葉文潔(イェウェンジェ)は父親が虐殺されるのを目の当たりにするし、反動分子の子弟として冷遇されることになってしまうが、天文物理学者としての…
死者に会いたいと願う者と死者の橋渡しをする使者(ツナグ)をモチーフとした連作。ファンタジーの括りになるだろうが、ミステリーとしての趣も十分で読み応えがある。 地味で冴えなくて引っ込み思案の女性が、街角で具合が悪くなっている自分を助けてくれた…
海幸山幸伝説をモチーフにしたファンタジー。変な小説である(笑)。 主人公の佐田山幸彦は祖父に変わった名前を付けられた。因みに二才下の従妹は海幸比子で通称は海子。なぜが祖父がこのような名前を付けるに至ったのか、家の謎を辿る旅の模様を描いている…
奇書を巡る思索と冒険の旅、という感じだろうか。 冒頭、著者と思しき人物が「熱帯」という書について語る。熱帯の島に流れ着いた青年を主人公としたもので、魔術やら謎の人物やら活劇やらが物語られている本だが、著者と思しき人物はこの本を紛失し、未読の…
シュールな昆虫漫画「虫けら様」が面白かった秋山あゆ子が作画を担当していると言うことで読んでみた。昆虫や自然が題材の児童向けファンタジーである。主人公のよりさんは、夫の転勤で自然の濃い田舎町に引っ越してきた四児(すべて男子)の母親で、濃すぎ…
沖縄の風土や伝承をモチーフに数々のファンタジーを発表してきた池上永一作品。今回も超弩級に仕上がっている。主人公の知花煉は沖縄戦で凄惨な状況の中を逃げ回り、何とか生き延びることが出来たが、その最中にマブイ(魂)を落としてしまう。沖縄の伝承で…
文庫化にて再掲、という名の使い回し・・・(笑)。 何とも奇想に満ちたゾンビ小説である。 10年前に文学賞を受賞してそのまま専業になり、最初は話題になったもののその後は鳴かず飛ばずの作家K(著者の分身ならんか)と、面会するのに自宅近くまで行かなく…
疫病パニックをモチーフにしたファンタジーであるが、一言では言い表せられない重厚長大な作品である。アカファ王国が東乎瑠(ツオル)帝国によって併呑され、独角(抵抗軍の戦士)の頭として戦っていたヴァンは、戦いの後、塩鉱山の奴隷に落とされている。…
南総里見八犬伝をモチーフに、房総の山から出てきた猟師である少女浜路が、伏(ふせ)と呼ばれる犬人間とドタバタ追いかけっこを繰り広げる時代ファンタジーである。 伏は残虐な行為を平気で行い、江戸を恐怖に陥れている。猟師である祖父に育てられた浜路(…
朝日の書評で採り上げられており、面白そうだったので読んでみたが、なんだか肩すかしの感(作品の善し悪しではなく、書評から受けるイメージとずいぶん違っていたので)。 http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2017050700011.html主人公は中堅の女性作…
文庫化にて再掲、という名の使い回しPart2。 かつては一本角(片角)のカモシカであり、今は八戸南部班の秘宝「かたづの様」として存在する精霊のような意識が、八戸南部藩を支え続けた女傑について語る時代ファンタジーとでも言うべきか。結構は歴史小説な…
文庫化につき再掲(という名の使い回し(笑))。 亡くなった友人、高堂の生家に家守として暮らす主人公の出くわす怪異を、明治期の日本的情緒たっぷりに、かつユーモラスに描いた「家守綺譚」の続編である。「家守綺譚」では何しろ、亡くなった高堂が掛け軸…
何とも奇想に満ちたゾンビ小説である。 10年前に文学賞を受賞してそのまま専業になり、最初は話題になったもののその後は鳴かず飛ばずの作家K(著者の分身ならんか)と、Kを、面会するのに自宅近くまで行かなくてもいい作家とランク分けする大手出版社の若手…
国際的にも評価されている児童文学ファンタジーだが、どこが児童向けなのかと思わせるくらいの大作で、架空の獣を除けば堂々の大河架空歴史ロマンである。真王(ヨジェ)が神聖な権威として存在し、大公(アルハン)が闘蛇による武力で辺境の防衛を引き受け…
竹の精である吸血鬼をモチーフにした連作集で、どれも読ませるが、第一編の「ちいさな焦げた顔」が特に胸に迫る。犯罪うずまく都市に暮らす主人公は、何人目かの継父のおかげで豊かな暮らしをしていたが、継父の不祥事により組織の報復を受けて母と姉が惨殺…
そこそこに名前も顔も売れている物書きの遭遇する不思議を情緒的に描いた土俗ファンタジーとでも言うべき連作集。主人公は「まっさん」と呼ばれる有名人だし、実在の人物をモデルとした登場人物もいるし、半ばドキュメンタリーか私小説かと思ってしまうが(…
一代で様々な事業を成功させた祖父から母親が受け継いだ雑居ビル「バベル」の管理人に収まり、作家になろうと文学賞応募作を書き続けている主人公の巻き込まれる特異な体験を描いたSFであろうか。以前の作品はファンタジー色が強かったが、今回は堂々の異…
クラフト・エヴィング商會の吉田夫妻の娘という体裁の主人公吉田音が、知り合いの作家志望の円田さんと結成したミルリトン探偵局シリーズ第二弾である(前作は[ミルリトン探偵局1http://d.hatena.ne.jp/suijun-hibisukusu/20161022/p1:title=夜に猫が身をひ…
作者も主人公もクラフト・エヴィング商會の吉田夫妻の娘という触れ込みだが、実際は夫妻の作品らしい。なんとも紛らわしい。吉田夫妻の娘である音(おん)は中学生という設定で、一家ぐるみで付き合いのある円田さんの飼い猫Thinkが妙なものを持ち帰ってくる…