本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

2009-01-01から1年間の記事一覧

穴/ルイス・サッカー

4代前の先祖が豚を盗んだ罪によってかけられた呪いにより、まずい時にまずい場所に居合わせて不運を背負い込む運命となったイェールナッツ家の五代目スタンリー(太っちょの少年)は、先祖の前例通り、有名野球選手がチャリティーに寄付したスニーカーを盗…

おやき

[おやきは信州名物の軽食である(元は主食だったと思う)。小麦粉を水で練り、味付けしたナス、キャベツ、野沢菜などを入れて丸め、フライパンで焼くとか、蒸すとか、いろりの灰の中でいぶすとかしたもので、素朴ながら非常に懐かしい美味だ。おそらく米が出…

やくざ親分伝/猪野健治 

戦前戦後にアウトローの世界で力を発揮した親分たちの事績を綴ったルポルタージュ。やくざというと博徒=任侠と思いがちだが、境目が曖昧な神農=香具師(テキヤ)も含まれていて、戦後の復興を担った闇市を仕切る親分たちに半分くらいのページが割かれてい…

へんないきもの三千里/早川いくを

奇妙な形態や生体を持つ生物を面白おかしく描いた「へんないきもの」の著者による生き物ファンタジー。いわゆるバイオファンタジーのような遺伝子工学的なものではなく、へんないきものたちが擬人化されていて可笑しい。 ビジネスエリートの両親(ただし仮面…

北条綱成/江宮隆之

駿河今川家の武将・福島正成(くしままさしげ)の嫡男で、後に小田原北条家の親族となり、地黄八幡の異名を取った北条綱成の生涯を描く歴史小説である。父は甲斐武田との戦いで戦死、福島一族の片隅で成長した孫九郎(後の綱成)だが、福島家が花倉の乱(今…

赤めだか/立川談春

立川談志の弟子で立川流真打である著者が、高校を中退して談志に入門し、紆余曲折を経て真打になるまでを面白おかしく描いた自伝エッセイである(因みに昨年あたりの新聞には談春が談志の芸の継承者であるらしいことが書かれていた)。 天才の誉れ高い談志だ…

香箱?

昨年、江ノ島で撮ってきた猫ですが、 香箱というには前足が左右にはみ出しすぎでしょうか(笑)。

蓮 鎌倉鶴ヶ岡八幡宮にて

人形と政治家は顔が命?

衆院解散となった。現在の所は民主党に風が吹いているが、同じように献金問題を抱えながら、圧倒的に支持が強い現代表、辞任圧力の強かった前代表の違いは、やはりご面相なのかと思ったりする。顔が良ければいい人そうに見えたりするし、前代表はああだから…

俳風三麗花/三田完

そろそろきなくさい匂いが漂い始めている満州事変ころの東京を舞台に、中堅俳人 秋野暮愁の句会に集う三人の女性の句作や恋や描いた句会小説。ちゑ(大学教授の娘)、壽子(医専学生)、松太郎(浅草芸者)の三人の描き分けが面白く、戦前の女性らしい雰囲気…

当マイクロフォン/三田完

大河ドラマや鬼平犯科帳など、名調子のナレーションで一世を風靡したNHKアナウンサー中西龍(なかにしりょう)の評伝小説である。三田完はNHK出身の作家だが、小説内では二村淳という芸能番組スタッフと中西の世代を超えた交流(清遊仲間とも言えそう…

テレコンでゴイサギ

OLYMPUS テレコンバージョンレンズ TCON-17出版社/メーカー: オリンパス発売日: 2003/03/21メディア: Camera クリック: 10回この商品を含むブログ (3件) を見る 野鳥観察を始めてから写真にも残したいと思うようになったが、いかに12倍ズームでも、遠くに…

紅はこべ/バロネス・オルツィ 

「紅はこべ」が有名な歴史ロマン大作であり、安楽椅子探偵小説の名作「隅の老人」のバロネス・オルツィの作品であることは知っていたが、この手の歴史冒険ロマンが大好きな割りに何となく今まで手に取る機会もなく来てしまった。昨年、集英社文庫の広告で見…

毎度いつもの猫ですが・・・

例によって雨戸を開けたらいつもの猫が・・・(笑)。

吉原手引草/松井今朝子

言わずと知れた直木賞受賞作。吉原一の花魁葛城の起こしたスキャンダルを、吉原に携わる様々な人間に軽薄そうな若者が取材して回る聞き書きになっており、売れっ子の花魁の人間性や魅力と共に、事件の真実が徐々に浮かび上がるというなかなかミステリアスな…

大盗禅師/司馬遼太郎

司馬遼太郎は、デビュー当時は幻想味の多い娯楽時代小説を書いていて、近年、それらの作品が文庫に収録されるようになっている。大盗禅師もその一冊で、初出は昭和43年頃らしい。 舞台は三代将軍家光の代になり、徳川体制が固まり始めた頃。摂津住吉の浦で…

レンタル

清く正しいNPOが使う名称をポルノ映画に流用されたと姉さんたちが憤っているが、どこか「性」の匂いがする、この淫靡で斬新な響きの造語をアダルト関連がほっとくはずもない。こんなキャッチーな名称を作ってしまった故の弊害かと思う。兄さんもあるらし…

東慶寺散策

檀家になっている寺で施餓鬼供養があり参加。仏教を信仰している訳ではないのだが、大勢の僧侶による読経(大迫力!)を聴けるのは宗教体験として興味深い。やはり宗教と芸能は同根だなぁと思う。時にはスピリチュアルな感慨にふけるのも悪くない。散会して…

カカオ80%の夏/永井するみ 

中高生向けミステリー叢書ミステリーYA!(理論社)の一冊。お嬢様の多い私立女子高で孤高を貫くクールな三浦凪が、夏休み中に行方不明になった友人雪絵を見つけるべく奮闘する女子高生ハードボイルドである。男に頼らなければ生きていけない大学教授の母を持…

終わり間際のあじさい@鎌倉権五郎神社

数日前、空いた時間に鎌倉長谷の御霊神社(権五郎神社)へ行ってきた。最近、長谷一帯はあじさい名所として売り出しているが、このさほど広くない神社は境内に江ノ電が通っていて線路際にあじさいが植栽されており、「あじさいと江ノ電」のセットで昨今人気…

まんまこと/畠中恵 

病弱な若旦那と愉快な妖(あやかし)たちとのほのぼのとした交流が楽しいお江戸妖怪ファンタジー「しゃばけ」シリーズで人気の著者の作品だが、こちらは妖は出てこず、普通に時代小説である(笑)。神田の八町を束ねる古町名主高橋宗右衛門の頼りない跡取り…

いつもの、ネーコ(ハライチ風に)

朝、雨戸を開けたら、「いつもの、ネーコ(ハライチ風に(笑))」が道路に座り込んでいたので撮影。12倍ズームで寄ってトリミングしております。 右むいて ボーっとして 何見てんだよ!

日本橋バビロン/小林信彦

著者の生家のあった両国(現在の東日本橋が本来の両国で、現在の両国は東両国であったらしい)と、生家である老舗和菓子屋の衰亡を語っている。私小説と言うほどドロドロしていないので叙事詩と呼ばれるのが嬉しいと書いていたが、まぁやはり私小説であろう…

全然色気のない女性俳人?(笑)

僕はどんな夢を抱かなかったかは院生俳人(一部的には有名)のブログだが、野の蝶をみな懐中にかくしけり 宇多喜代子というエントリーに下記のような一節がある。 宇多さんの俳句の印象として、 女性俳句史のうえに位置づけたとき、 「全然色気のない女性」…

間道 見世物とテキヤの領域/坂入尚文 

東京芸大彫刻科を中退後、ジオラマや怪獣作成を仕事にしていた著者は、芸大の先輩に誘われてグロテスクな蝋人形の見世物小屋に参加し、後には飴細工のテキヤとなる。本書は見世物とテキヤの業界や旅稼業の実態を綴ったノンフィクションで、真っ当な社会の周…

あじさいの里 白鳳庵にて

横浜市瀬谷区にある「あじさいの里 白鳳庵」は個人邸宅だが、開花期だけあじさい庭園を開放している。昨年に続いて今年も見頃のあじさいが堪能できた。

烏金/西條奈加 

近未来の日本に出現したバーチャルな江戸が舞台の「金春屋ゴメス」でファンタジーノベル大賞を受賞した著者には真っ当な時代小説も書けるんじゃないかと思っていたが、案に違わなかった。本作は時代人情金融サスペンスとでも言う感じだろうか。烏金とは、朝…

FinepixとLUMIX

母が定額給付金(まだ手元には来ておりませんが(笑))でデジタルカメラを買いたいと言いだした。2万程度で高齢者が簡単に使えて画質の良い物を心がけて探したところ、富士フイルムのFinepix F200 EXRの価格がかなりお買い得になってきているのを見つけ、…

放送禁止歌/森達也

ドキュメンタリー監督である著者がかつて番組で採り上げた放送禁止歌について、更に詳細に取材して記したスピンオフのノンフィクション。岡林信康の「手紙」「チューリップのアップリケ」、なぎら健壱の「悲惨な戦い」、赤い鳥の「竹田の子守唄」、つぼイノ…

日本中世に何が起きたか 都市と宗教と「資本主義」/網野善彦

鋼鉄式日記を拝読して関心を持った。この本は未読だったが、網野史学には以前から興味があるのだ。中世の非農耕・非定住の金融商工芸能宗教などに携わる人々の姿を掘り起こしてきた網野善彦だが、雑誌に寄稿したものや講演録などを編集し、網野史学を分かり…