本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

ヒトコブラクダ層ぜっと/万城目学

幼い頃に両親を亡くした三つ子の榎土三兄弟は超能力を持っている。長男の梵天は意識を別の所に潜らせ、次男の梵地はあらゆる言語を聞き取ることが出来、三男の梵土は対峙する相手の次の行動を読むことが出来る。そして、この力を持っていることによって不思議な冒険に旅立つことになるのだった。


最初のうち、超能力を正義のために使っていた三兄弟だが、恐竜を発掘したいと言う夢に取り憑かれている梵天が山を購入する資金のために宝石強盗を働いてしまう。そして、それを種に不思議な女に脅迫され、自衛隊に入り、果てはPKOイラクに派遣されてしまうのだった。


そして、イラクでの、シュメール文明をモチーフとした不思議な冒険が展開される。かなり長い描写が続き、正直なところ冗長かなぁと思わぬでもないが、種明かしをされたときのカタルシスを考えると、長い長い序説だったということかもしれない。


シュメール神話に長々とページを割き、不思議な世界での冒険が展開されているあたり、半村良の伝奇小説を思い起こしたりした。