沖縄を舞台にしたファンタジー。
主人公は30代の青年。小学生の時に母を失い、再婚した父と共に沖縄に移り住んだ。休暇を取り、久々に沖縄に帰った「ぼく」は、義母と共に三日間の沖縄巡りをすることに。その過程で幼い日を思い起こし、不思議にも遭遇することになる。
「ぼく」は、病床の実母を大した見舞わず、母が死んで幾らも経たないうちに沖縄に恋人を作り、北海道からの移住を勝手に決めた父に反発し、新しい母にもなかなか馴染めないでいた。大人になった「ぼく」は、ガイドをしている義母に名所を案内されているが子供の頃に親に連れられてきたことのある地でもあり、その過程を思い起こし、当初は反発していた義母の優しさにに徐々にほだされていった詳細が語られていく。
わがままで自分勝手で直情径行で、深くものを考えずに猪突猛進してしまう父を子供のようだと描写しているが、人好きはする男で、どちらも「いい女」である実母も義母も父を受け入れているのだ。ただ、こういう無神経男は自分は好かんなぁ。
時には過去の自分と向き合ったりして、自分はおそらく死んでしまうのであり、義母との三日間は沖縄の贈り物だと考えていた「ぼく」だったが・・・。
義理の親子がやさしく描かれ、気持ちのよい読後感。
