本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

東北

河北新報のいちばん長い日 震災下の地元新聞/河北新報社

文庫化にて再掲。しかしこのタイミングでというのはちょっとあざといなぁ(そう言いつつ掲載する自分もあざとい)。 東日本大震災が発生した日、東北を地盤とするローカル新の河北新報社がどのように行動したかを子細に記録したノンフィクション。河北新報の…

東北自動車道国見PAより福島盆地を望む

7月に東北道を走るときは福島県の国見PAに寄って桃を買う。福島産の桃は非常に美味なのだ(あかつきと言う品種が絶品)。半月ほど前に石巻の帰途に寄ったときにはまだあかつきが出回っておらず、暁星という品種を買って帰ったが、これも美味だった。国見PA…

宮城二泊三日の旅4 蛇田矢本ウロウロ&さらば石巻篇

二泊目は蛇田のルートイン。1000円の違いで設備の快適さが全然違うが、郊外型の展開なので街中の面白さはない。そういえば夜の石巻を散策したかったなぁ。いち早く復興したのは歓楽街だというのは叔父からの情報。翌朝のバイキングはメンチカツに焼きそばと…

裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす/たくきよしみつ

著者は原発に近い川内村に居住していた作家・技術批評のライター・ミュージシャンなどを兼業する人で、福島第一原発事故以降、いかに国や県の対処がでたらめだったか、東電や原子力政策のインチキさ、線量が低いにも関わらず避難地域に組み入れさせたがる行…

瓦礫の中から言葉を わたしの<死者へ>/辺見庸

宮城県石巻市出身の著者が、震災直後にNHKの「こころの時代」に出演し、震災を語った内容に基づいて新たに書き下ろされたもの。震災後「ぽぽぽ〜ん」に乗っ取られたテレビから流れるのは「楽しい仲間」「ごめんね」「ありがとう」「絆」などの空疎な言葉で、…

走れ、さんてつ!

中井精也氏はBSの鉄道写真番組でよく見かける人で、ゆる鉄を標榜する鉄道写真家。ガチな鉄道写真ではなく、人だったり物だったり風景だったり猫だったり、何かしら他の事物と組み合わせてふわっとした優しい雰囲気の写真を作りだす。さんてつとは三陸鉄道の…

春を恨んだりはしない/池澤夏樹

震災後のあれこれ、原発問題などを作家の視点で考察した随想。作家が震災を語ると詩を引用したりしてどうしても文学的になってしまうのは避けがたいのかも知れないが、以前に新聞に掲載されたコラムをふくらませた「昔、原発というものがあった」が読み応え…

大[震災]震災 欲と仁義/荻野アンナとゲリラ隊 

作家の荻野アンナが「避難所は社会の縮図である」と見なして被災後一ヶ月くらいの避難所を取材した共同通信連載ルポ。同行した共同通信記者(河北新報に出向中)は仙台港で津波に遭遇したそうだ。この記者の言によれば、テレビ取材で涙にくれる被災者はまだ…

原子力がらみの話題における語彙

原発事故以来、さんざんネタにされている話題だとは思うけれど。 放射能と放射線と放射性物質はそれぞれ違うものだが、すべて引っくるめて「放射能」と呼んでしまいがちで、自分も子供の頃からそうだった。60年代〜70年代には「雨に濡れると放射能で頭が…

新徴組/佐藤賢一

新徴組とは、徳川家茂上洛に際して警護のために集められた浪士組の後身で、新選組と同じ祖を持つ。新選組が会津預かりで京の警護に当たったのは有名だが、同様に庄内藩預かりで幕末の江戸の治安維持を担当したなどということはまったく知らなかった。新徴組…

地震のこと

3月11日午後2時46分、マグニチュード9.0という大きな地震が東日本を襲った。当地では震度5弱ということだったが、あんなに大きく揺れる怖い地震を経験したのは初めてで、家の倒壊も覚悟したが、何とか無事だった。その直後、三陸を青森県から千葉県にか…

迎え火の山/熊谷達也

先祖を迎えるためのかがり火を並べる「採燈祭」が久しぶりに計画されている旧盆に、湯殿山山麓に連なる村で三人の幼なじみが再会する。東京で芽の出ないフリーライターをしている工藤、採燈祭を企画した土谷、奇妙な家に育った木村由香の三人は、採燈祭にま…

山背郷/熊谷達也

潜水夫、マタギ、河川水運の船頭、漁師など、大自然を畏怖し、崇敬し、寄り添い、或いは抗って生きる人々を描いた短編集で、自然の詩情と共に民俗や習俗も巧みに取り込んでおり、非常に読ませる。直木賞受賞作「邂逅の森」のプロトタイプも収められている。…

マイ・ホームタウン/熊谷達也

熊谷達也の面白さを知ってしまったので少しずつ読み進めている。直木賞受賞の際、書評家によるレビューが今イチの扱いだったのですっかり興味をなくしていたが、東北の民俗学をベースにした小説群は読んでみたら存外に面白いではないか。本作は、著者が小学…