本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

迎え火の山/熊谷達也

先祖を迎えるためのかがり火を並べる「採燈祭」が久しぶりに計画されている旧盆に、湯殿山山麓に連なる村で三人の幼なじみが再会する。東京で芽の出ないフリーライターをしている工藤、採燈祭を企画した土谷、奇妙な家に育った木村由香の三人は、採燈祭にまつわる怪奇なトラブルに巻き込まれ、悪戦苦闘することに。

言わばオカルト伝奇ホラーという感じか。採燈祭を執り行うと、祖霊と共に悪霊や怨霊も降りてきてしまうと言うことで、これを阻止しようとするグループがあり、古代の争いが現代にも及ぶという設定である。筋書きはそれなりに面白いが、オカルトの部分が説明的で凄みなく終わってしまった感。

東北の伝承や風俗をモチーフとして様々な小説を発表している著者の作品は好きだが、こんな作風の時代もあったのかと思える。