中国史
各地に群雄割拠する中、勢力範囲で善政を布く劉秀に臣従し、武将として後漢王朝の成立に寄与した呉漢の生涯を描く中国史小説。 器量の大きな主人公が、信頼できる仲間や部下を見出して波瀾万丈の活躍をし、出世したり大業を為したりという、いつもの宮城谷作…
司馬遷の書いた史記がいかなるものかよく知らないのだが、北方謙三がこれを描くとなれば面白くないわけがなかろうと思い、北方版大水滸伝51巻(水滸伝19巻、楊令伝15巻、岳飛伝17巻)を読了した後、更に手を伸ばしてみた。前漢の第7代皇帝で、即位したばかり…
三国志や三国志演義のあちこちに突っ込みを入れまくりながらギャグと散りばめた三国志パロディ。本書にかかれば劉備軍団は魔性の勘で危機を生き延びてきたやくざ集団だし、劉備はいい人づらをしている忠義ぶりっこ(いい人づらで騙される人間もいる(笑))…
劉邦を主人公にした宮城谷作品があるとは知らなかった。このテーマでは司馬遼太郎の「項羽と劉邦」があるが、無能なやくざ者なのに自分が出世すると根拠のない自信を持っている劉邦に魅力を感じず(司馬遼太郎の作品には得てしてこの手の人物が多い。三国志…
元々は宰相であった王莽が漢の王位を簒奪し、新という王朝を樹立した時代、劉姓を持つ漢王朝の子孫たちは各地で苦汁をなめていたが、あまりに愚かな政治にあちこちで反逆の火の手が上がり始める。本作の主人公劉秀は、叔父に養育される傍ら実家の農作を手伝…
全共闘世代の著者が、学生運動の挫折を投影したと思われる水滸伝http://d.hatena.ne.jp/suijun-hibisukusu/20070224/1172315500の続編で、若き戦闘者楊令を中心に展開される。北方版大水滸シリーズはこの後「岳飛伝」に続き、三部作となる。 梁山泊が官軍に…
チンギス・カンの孫であるバトゥを主人公とした中国史小説。バトゥの父ジュチは、チンギス・カンの長子ながら、チンギス・カンの正妻が他部族に拉致されていた前後に生まれているため、チンギス・カンが自分の子であると認めているにも関わらずジュチ(客人…
三国志の後、司馬懿の建てた晋の弱体化し始めた五胡十六国時代、てい(低からにんべんを除いた字)族の秦の皇族苻堅は戦乱で犠牲になる民の不幸を嘆き、中華のすべての民が平和で豊かに暮らせる国作りを志す。そして、劣悪な皇帝を倒して自分が即位すると、…
西遊記は子供の頃から大好きで、この翻訳版もおそらく5〜6度目かの再読である。他の翻訳(岩波文庫の中野美代子訳、現代教養文庫の村上知行訳)、平岩弓枝の翻案なども読んだが、やはりこの平凡社版の太田・鳥居訳が一番面白いと思う。漢詩の部分などは意訳…
正史三国志と三国演義における矛盾に無茶なツッコミを入れつつ、劉備がいかにリーダーとしての資質を欠いているか、宇宙的変質者の孔明が魏呉を相手にいかなるいかさまマジックを使うかをスラップスティックに綴った三国志外伝の第二弾である。今回は荊州の…
桃園の誓いから赤壁の戦いまで、あっという間に(300ページほど)語られてしまうシバレン版三国志。解説を読むと児童文学として書かれた由が書かれていて、なるほどなと思った。精緻な政治状況の描写とか、戦いに赴く悲壮感やヒロイズムなどは描かれず、…
北宋の時代、軍閥楊家軍を率いる楊業が、精強すぎるが故に国主から信用されず、戦いの中で死んでいくまでの悲劇を描いたのが「楊家将」で、本作は、楊業の死後、遺児たちの戦いを描いたものである。精強な軍閥楊家軍を率いていた楊業は陳家谷の戦いで戦死、…
春秋時代の斉の公室を親子二代にわたって支えた晏弱・晏嬰の活躍を描いた中国史小説である。斉の国は、太公望の建国より不可侵の大国として存してきたが、二大強国となった晋と楚のどちらに付くかで揺れ動く状態となっていた。そして、晋からの使者を揶揄し…
唐の二代皇帝太宗の若き日である李世民が唐建国に奔命する姿を描く大作中国史小説。隋末、皇帝楊広は国務を放擲して南方で享楽の日々を送り、各地に群雄が割拠している。王族でもある太原留守の李淵(唐公)は、二人の良くできた息子に促され決起し、長安を…
唐の二代皇帝太宗の若き日である李世民が唐建国に奔命する姿を描いた大作中国史小説。本書の魅力は何と言っても李世民のキャラクターだ。李世民の律動的な足音がモチーフとなって現れるが、軍事的に危機に陥り、沈み込む唐朝廷に李世民の足音が響くだけで、…
昨日のNHK教育「歴史に好奇心」は『「水滸伝』から中国史を読む』という特集で、北方謙三が北方版水滸伝の話題を中心に、水滸伝の世界や自己の中国史観などを語っている。 http://www.nhk.or.jp/shiruraku/200809/thurseday.html中国史の世界に近代的な革命…