本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ/川上和人

気鋭の鳥類学者による鳥エッセイ。鳥類の形態、生体、分布、環境問題、人間との関わりなどを、ギャグを交えた楽しい文章で綴っている(よくも後から後から面白い言い回しを思い付くものだ(笑))。

NHKスペシャル「東京ロストワールド南硫黄島の探検メンバーの中に著者もいたのを見たが、10数年前にも南硫黄島を訪れていたそうで、テレビで見たのと合わせて興味深く読んだ。テレビの中では嬉々として絶壁の登攀にチャレンジしているのを見たが。

日本に渡ってくる野鳥が減っているという話はバードウォッチング方面のあちこちで聞くことで、日本の環境破壊によるものなのかと考えていたが、繁殖地の環境変化というのがあるらしいことが本書で書かれていて、なるほどなと思った次第。

タイトルは、大学農学部の途中から鳥類学を志したことを自虐的に表したものだが、単なる鳥好きでは分からないことを教えてくれるエッセイでもあり、そういう自負も込められているのかしらん、と思ったことであった。