本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

キリン解剖記/郡司芽久

幼い頃からキリンが大好きで、大学でキリンを研究テーマにした著者が、キリンの第一胸椎が頸椎の形態に似ていることから新たな発見をするまでを描いた生き物エッセイ。これまでに30頭のキリンを解剖しているそうで、解剖数で世界一である(かもしれない)そうである。


正直なところ、キリンの胸椎に可動性があると分かったところで即座に人間生活に寄与するとは思えないが、こういう絶え間ない好奇心が人間を進歩させてきたのだろうと思う。動物学での発見が自然環境の変化を読み解く鍵になり、人間の危機を救うことになるのかもしれないのだし。これは自分の好きな鳥類を研究する学者さんにも当てはまりそうだ。


キリンへの愛があふれる生き物エッセイで、生き物好きの人ならキリン好きでなくとも楽しめるかも。と言うより、著者は読者にキリン好きになってほしいとか(笑)。


版元はナツメ社。ナツメ社と言えば実用書出版社というイメージだが、こういうエッセイも出したりするのね。

キリン解剖記

キリン解剖記