本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

シロクマ号となぞの鳥/アーサー・ランサム

ランサム・サーガ(全12巻)のシリーズ最終篇。

キャプテン・フリント、ツバメ号、アマゾン号、ドロシアとデビットのDきょうだい一行は、キャプテン・フリントが友人から借りた帆船シロクマ号で外ヘブリデス諸島を航海し、帰途に就いたところでとある島へ立ち寄る。

思い込みが激しく、一旦のめり込むと他に注意の行かなくなるデビットが鳥に執着し、ついに鳥類学上今までになかった発見をしてしまうことに。イギリスでは繁殖しないと思われていたハシグロアビの営巣を発見してしまうのだ。

鳥の専門家が近くを航海していると知ったデビットはこの男ジマリングに教えを請おうとするが、ジマリングは卵と剥製をコレクションしているような俗物で、デビッドの話を聞きつけたジマリングは何とか手に入れようと、シロクマ号を追い回すことになるのだった。

ジマリングとの争いの他、ゲール語を話す地元の羊飼いともトラブルを抱えてしまったシロクマ号の面々は何とかハシグロアビを守ろうとするデビットに味方し、二組を出し抜くべく色々と画策するのであった。

今回も手に汗握る子供たちの冒険で、最後までハラハラドキドキが続く。現在のような形のバードウォッチングが定着する以前は、野鳥を射殺してコレクションするようなことも流行っていたらしいから、ジマリングはそういう時代の鳥好きなのだろう。現代で言えば、写真を撮るためなら無法なことも平気な、非常識な鳥カメを思わせる感じだ。


この物語が終わってしまったのは残念。他の地域で仲間になった面々とのエピソードも読みたかったし、まだ次回作以降の構想もあったようだが、ジョンやナンシイはそろそろ大人になりかける年齢だろうし、いい頃合いだったのかなぁ。




ネムノキ


ヤマユリ


ワルナスビ