気鋭の鳥類学者によるタイトル通りの著作。恐竜の子孫である鳥類の観点から恐竜の生態を想像していくというもので、専門的で難解な著述にはたじろぎつつも、恐竜について楽しく語られている科学エッセイである。
恐竜図鑑が書店に並び、何なら声入りのCGがテレビで放映されるが、恐竜は化石しかないからすべては学者による推論であるらしいと、本書を読んで改めて気付かされた。現生爬虫類などから生態を類推するそうだが、だからこそ鳥類学者にも想像を広げられる訳だ。
鳥類と恐竜の関係と言えば、始祖鳥と翼竜の類似性が浮かんでくるが、必ずしも直系の先祖という訳でもなさそうで、幾つかの枝分かれから生まれてきたものらしい。羽毛を持った恐竜の化石が出てきたりしていて、そこから飛ぶための羽に進化していったのではないかとか、ほほうそうなのかという事実が目新しいし、ふざけた脚注も何とも楽しい。鳥好きとしては、恐竜よりも鳥の記述の方が楽しめてしまうのが難点と言えば難点(笑)。
一週間前のスイセン