本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

下妻物語・完/嶽本野ばら

強烈に痛快で面白かった青春小説の傑作「下妻物語 ヤンキーちゃんとロリータちゃん」の続編で、「ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件」という副題が付いている。あのすっとんきょうな二人の続編が読めるのは嬉しいが、何故殺人事件なのだろうか。二人…

樓岸夢一定(ろうのきしゆめいちじょう)/佐藤雅美

秀吉麾下の部将として精励した蜂須賀小六を主人公に、戦国の国盗りを描いた歴史長編。木曽川流域の川筋者を束ねる蜂須賀党の魁首小六は、いわゆる土豪で、美濃と尾張が争う間で運輸、諜報、攪乱などの戦場稼ぎをしており、父親が斎藤道三と縁があることもあ…

獄中物

獄中記というのはどうも癖になるようで、追記のように5冊ほども読んでいるだろうか。普通の人の目には明らかにならない閉鎖的な世界の、特異な経験を経てきた人間たちばかりなのだから、興味深いことはこの上ないが、そう言っては失礼か。 刑務所の王/井口…

三日月が円くなるまで/宇江佐真理

東北の大藩であった仙石家は、戦国のどさくさに家臣島北に独立されて藩領の肥沃な土地を奪われ、江戸の現在に至るも角逐を繰り返しているが、一橋家の賄賂の要求を断ったところを島北が横取りして面目を潰された上に、島北が版図を拡大しようとしている気配…

フラッシュ/カール・ハイアセン

フロリダの豊かな自然を愛し、環境を守るためなら非常識で過激な行動も辞さない善人と、俗悪な観光業者・開発業者とのトラブルをテーマにスラップスティックなミステリーを書き続けるカール・ハイアセンの、「HOOT」に続くヤングアダルトノベル。海水浴場に…

柳生雨月抄/荒山徹 

霊能があり、さらに宗家柳生宗矩を凌ぐほどの腕前でもある、京都の陰陽師家に養子に入った柳生友景を主人公に、朝鮮の妖術師との戦いをおどろおどろしく描いた時代伝奇。友景は以前の荒山作品にも登場しているが、その時には十代で美貌でサイキックで剣の達…

獄中記 地獄篇/ジェフリー・アーチャー

(本人の言うところによれば)どうでもいいような微罪なのに判事の悪意によって二年間の獄中生活を余儀なくされた著者が、収監された初日からを詳細に綴った獄中日記。さすが、転んでもただでは起きない(笑)。終始一貫して自分は嵌められたのだと主張し、…

花はさくら木/辻原登

朝日夕刊に連載されていた時代小説である。時の老中・田沼意次は、江戸に、大坂に負けないような経済機能を持たせたいと考えている。そして、朝廷に莫大な献金をし、鴻池とタッグを組んで巨利を得ている豪商北風組を潰そうと画策し、配下を送り込むのである…