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藝人春秋2 ハカセより愛をこめて&藝人春秋3 死ぬのは奴らだ/水道橋博士

藝人春秋2 ハカセより愛をこめて

芸能ジャーナリストを自任する水道橋博士が様々な芸能人について語った「藝人春秋」に続く第二弾。今回は芸能界に潜入した秘密調査員だそうだ。


語っているのが芸人に限らず、政治家、俳優、タレント、ミュージシャンと幅広い。多彩な交友と、的確な文章力で様々なエピソードを開陳して楽しませてくれる。伝説のクズ芸人三又又三のくだらなさとか、阿藤快の怪優ぶりとか、マキタスポーツを発掘したのがハカセだったとかのエピソードが飽きさせない。そして、最終章で大瀧詠一への愛を語っていて、ここには切なさも漂っている。


基本的にはユーモラスな人物評伝だけれど(時にかなりくだらない描写もあるけれど)、どこかに漂うリリシズムが心地よい。

藝人春秋3 死ぬのは奴らだ水道橋博士

番組降板事件の遠因である橋下徹とか、百獣の王を自称する武井壮と、そういうシミュレーションの先達である寺門ジモンとの不毛で笑える対決とか、三谷幸喜井筒和幸との笑える確執とか、岡村靖幸との幸福な一日とか、相変わらず筆致が冴えている。石原慎太郎三浦雄一郎の確執について多くのページを割いており、傲慢で偏狭な石原慎太郎が大嫌いな自分としては、このじじいの逸話は読みたくないなぁと思ってしまうが、威張りんぼの懐に入っておちょくるのが好きな由。なるほど、王をおちょくる道化以来の、芸人の伝統芸なのだな。本巻も面白かった。