本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

藝人春秋/水道橋博士

文筆でも知られ、芸人ルポライターを自認する水道橋博士がよく知る芸能人(狭義の芸人のみにあらず)の人となりを綴った芸能エッセイ。

お茶目でマッチョなアスリートの面を持つ草野仁とか(著者にとって「たけしとひとし」は芸能界の父らしい)、狂気を発していたプロデューサー時代のテリー伊藤とか(ごく常識的なコメントしかしない現在はつまらんオッサンである)、中学の同級生なのにため口を憶してしまう甲本ヒロトとか(黙ってテレビばかり見ている子を心配して親がラジカセを買い与えたら、流れてきたマンフレッド・マンに感動嗚咽し、黙ってラジカセに向かってばかりいる子になってしまったとか)、売れっ子芸人がよく噂を口にする三又又三とか(あまちゃんに本人の役で一瞬登場したことがある)、芸能界がなければ生きていけなかったと思われる奇人変人たちのエピソードが何ともヤバくて面白い。

2000年代初頭に発表した文章に現在譚が後付けされており、少し古くさい感は否めないが、それを差し引いても興味深く、面白かった。