本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

俳句原理主義者

一昨日、NHK−BS「ニッポン全国俳句日和」の終わりだけを見た。以前にはファックスで寄せられる俳句を有名俳人の選者がその場で採り上げていく番組だったが、今回から模様替えしたようで、選者も、小澤実、片山由美子、星野高士、櫂未知子、夏井いつき、神野沙希とぐっと若返っている。

新機軸だったのは、自分の推薦作について二人の選者がディベートを戦わせ、残りの選者がどちらの句を残すか判定するという歌合わせ方式が採り入れられたことだ。俳人同士のチャンチャンバラバラ(かなりの屁理屈を含む)が非常に面白かった。

この論戦で思い切り力を発揮したのは片山由美子である。原則に忠実であることを旨としている俳人で、そこから外れた句作に対しては容赦ない批判を加える人だが、それだけに添削などは的確である。そして今回も、相手の出した句の欠点を即座にあげつらってみせたのはさすがで、酷薄そうな物言いと相まって非常に迫力があった(笑)。

あらゆる遊びや趣味には厳格なルール(技術と言い換えても良い)が必要である。子供の遊びとてルールが適用されないのは味噌っかすの幼児のみだし、初心者がルール無視をしてもそれはでたらめなだけだ(スイング・ガールズの竹中直人がそうだった(笑))。

ただ、一般的な技術を獲得したところで、少し原則からはみ出したりする部分はあってもいいんじゃないかと思う。文芸には遊び心が不可欠だと思うし、そうやって表現の幅も広がっていくのだと思うのだが・・・。

鷹羽狩行(たかはしゅぎょう)は片山由美子の師匠になる俳人だが、片山女史が厳格なのは師匠譲りなのだろう。有季定型花鳥諷詠にこだわりすぎるこういう人たちを自分は俳句原理主義者と呼んでいる。