本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

俳人漱石/坪内稔典 

小説家として名を成す前、正岡子規の友人兼弟子として秀句を残した夏目漱石の句作を肴に、ネンテン先生と漱石・子規が語り合う架空鼎談である。

明治時代の書生言葉として語り合う二人が面白く、そこにネンテン先生が自説を開陳する訳だが、やっぱりすべてはネンテン先生の産物であり、それだけこの二人の俳句に精通しているのだろう。

漱石先生の句に抒情と諧謔の割合がほどよくて非常に好きなのだが、「叩かれて昼の蚊を吐く木魚哉」は江戸時代の川柳に原型がある由。漱石俳句100句を採り上げ、見開き二ページで語っているので、どこから読んでも読みやすい。