本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

代書屋/柳家権太楼

無学で騒々しい依頼人と無愛想で慇懃無礼な代書屋との掛け合いが笑いを誘う落語である。

柳家権太楼については多くを知らない。20年ほど前に「らくごin六本木」という深夜番組があり、それで何度か見たことがあるくらいだったが、ここまではじけた芸風だったとは・・・(笑)。柳家というくらいだから小さんの弟子だと思っていたが、元は孫弟子であったものが師匠の死で小さん門下に移ったらしい。

とにかく派手でにぎやかで楽しい。柳家の芸風の要諦はじっくり語ることであり、体の動きは肩の幅から出ないなんていう話を聞いたことがあるが、何が何が、思いっきりオーバーアクションである。個性的な風貌を駆使し、派手な動きで笑いを取るやり方は故桂枝雀に似たものを感じる。ただ、枝雀は自分のギャグに受けてしまう悪癖があったが、権太楼はそれを抑えている感じで面白さが募る。

芸風なんてものは100%受け継ぐものではなく、良いところを取り込んで後は己を築き上げていくものだろうが、それにしてもどこに小さんのDNAがあるものやら・・・(笑)。まぁ、枝雀が米朝の弟子だったことを思えば同じことか。

派手なギャグを嫌い、落語はじっくり語る人情噺を良しとする向きもあるようだが、それもアリ、爆笑もアリというのが落語の醍醐味だろうと思う。

YouTubeより代書屋(8分32秒)