本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

屋上で会いましょう/チョン・セラン

「フィフティ・ピープル」「保健室のアン・ウニョン先生」が話題のチョン・セランの短編集。ホラーあり、文学性の高い作品あり、エンタメありと、この作家の多才さが堪能できる。 

suijun-hibisukusu.hatenablog.com

suijun-hibisukusu.hatenablog.com


表題作の「屋上で会いましょう」は、様々なことに絶望している女性が、仲の良いオンニ(女性から見た姉。仲の良い年上の女性に対しても用いる。兄の場合はオッパで、これも彼氏に用いられたりする。)から呪文の書を受け継ぎ、幸せになろうと呼び出したものは・・・。希望の継承と言う感じかな。


印象的だったのは「ハッピー・クッキー・イヤー」。中東地域から韓国に留学している医学生が、安アパートの隣室に住む女性と恋仲になるがとんでもない状況にもはまり込んだりする。「フィフティ・ピープル」を読んだ時にも感じたが、しゃれた会話と不条理さとユーモアと寓話性が村上春樹を想起させる。多少の影響はあるかしらん。


多彩な短編を楽しめた。

屋上で会いましょう (チョン・セランの本 2)

屋上で会いましょう (チョン・セランの本 2)