本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

THE GREAT KAI & J.J. / J.J.JOHONSON AND KAI WINDING

J・J・ジョンソン、カイ・ウィンディングの楽しい両トロンボーンに、ビル・エヴァンスポール・チェンバースなど、豪華なサイドメンがからむ贅沢なセッションだ。

スライドで音階を変化させるトロンボーンは、トランペットやサックスのように素早く派手なパッセージが可能ではなく、何となく脇役に追いやられている感がある。しかし、中音域なこともあってやや間の抜けた感じの暖かな音色が逆に魅力にもなって情感のある演奏が可能だが、その名手二人の競演だから、このアルバムも悪かろうはずがない。

モダンジャズ全盛期の録音ながら、スウィンギーな魅力にあふれていて、「ブルー・モンク」「我が心のジョージア」「サイド・バイ・サイド」など耳馴染みのある名曲を情感たっぷりにスイングされた日にはもうたまらず、トロンボーンのハモりに陶然とするしかない。

しかし、かと思えば、時折ブルージーな鋭い音色で攻め込んでくるので意表を突かれる。「楽隊」などという言葉が思い出されるのどかな雰囲気が魅力だが、モダンジャズならではのスリルや迫力も味わえる一枚だ。スイングの皮をかぶった狼とも言えようか(笑)。

1. This Could Be the Start of Something Big
2. Georgia on My Mind
3. Blue Monk
4. Judy
5. Alone Together
6. Side by Side
7. I Concentrate on You
8. Theme from Picnic
9. Trixie
10. Going, Going, Gong!
11. Just for a Thrill