本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

4TEEN/石田衣良 

語り手のテツロー、頭が切れて皮肉屋のジュン、気の良い太っちょのダイ、富裕な両親を持ち、ウェルナー症候群(早老症)のナオトの4人を主人公に、身の回りで起こるやや異常な事件と、変わらない友情を描いた中学生小説。

大人が読書対象になっていると思われ、決してヤングアダルト向けではないと思う。少しだけ気味の悪さを感じさせるあたりが、今時の中学生の特色をよく表しているのかもしれない。

以下は特に印象に残った三編。
「びっくりプレゼント」早老症のナオトが倒れて入院。三人が彼のために思いついた誕生日プレゼントは・・・。悲しさと優しさがない交ぜになった印象。

「月の草」クラスで八番目くらいに可愛いルミナ(ということはほとんど印象がない)が不登校になり、近くに住んでいると言うだけでテツローが教材類を届けさせられている。オートロック付きマンションの室内にあがれと言われ行ってみると、テーブルの上におやつが出されているがルミナの姿はなく、ドア一枚を隔てて携帯で会話することに。上手い設定だなぁ。

「空色の自転車」詳細は避けるが、あざといくらいに切なくて感動的な一編。

ほんの少しだけ不道徳で、でも気の良い中学生のたちの友情と日常を描き、気持の良い青春小説だった。