本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

泣き娘/小島環

武則天が納める唐の時代、神都一の哭女(雇われて葬儀に列し、大げさに泣いてみせる職業の女)の異名を取る泪飛を主人公に、数々の謎解きを絡めた言わば中国時代ミステリー。


泪飛は実は女装の燕飛という少年で、早くに両親を失い、幼い弟妹を養うために哭女として働いているが、葬儀の場で出会う謎(多くは殺人)を解くため、と言うよりよんどころなく謎に行き合って、謎解きに協力することになる。


設定がなかなかに魅力的で、謎解きも十分に面白くもあるのだが、燕飛が謎に関わる状況が何だか不自然に感じられてやや減点かな。


少年の行く末が気になったが、わりと大団円で良かった良かった。少年をこき使う周旋屋の老婆や御者(泪飛にオレの女になれと迫る)などのキャラクターも立っていて面白かった。