本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

2006年ベスト10

出版年とは関係なく、順不同で
昨年読んだ本のうちのベスト10を選んでみました。
本文は続き画面でどうぞ。


東京の下町で古本屋を営む一家は4世代8人が暮らす大家族で、ここにやや不思議な謎をからめながら涙と笑いの人情ドラマが展開される、ハートウォーミングな家族ミステリーでした。書評などでホームドラマの雰囲気と書かれていますが、本編にもホームドラマへの献辞があります。物語を語るのはすでに亡くなっているおばあさんの幽霊ですが、さしずめ京塚昌子山岡久乃の役どころでしょうか。





10才の香な子とコーモリ少年の交流を描く小学生恋愛小説。
ユーモラスで微笑ましくて切なくて、素敵な物語です。





大久保長安の死後、長安が差配してきた八王子千人同心の間に持ち上がった騒動を、
17才の少年たちを中心に描いた時代青春小説。
少年から青年への成長を、八王子の特産になった養蚕の齢に例え、
上手い効果を出しています。





映画化されてヒットした青春小説の傑作。
身勝手で根性悪のロリータちゃんと気の良いヤンキーちゃんの、
ボケとツッコミの友情物語が何とも言えずコミカルで痛快です。





後北條三代目・氷龍(こおりのりゅう)北條氏康と、義弟に当たる焔虎(ほのおのとら)北條綱成の二人の、成長と友情と苦闘を描く歴史大作。大方の海道龍一朗作品同様、熱く痛快で気持の良い好漢たちの物語です。




海水浴場に汚物を垂れ流しているギャンブル船が許せずに忍び込んで沈めてしまい、
逮捕されてしまった父親の汚名を晴らさんと奮闘努力するノア少年の活躍を描いています。普通の少年の正義感と勇気が心地よいヤングアダルトノベル。





無邪気で身勝手で天真爛漫で自己中心的な精神科医・伊良部のもとを訪れる患者は間違いなく伊良部に翻弄されるのですが、何故かこれが癒しになるのでした(笑)。爆笑ものです。





両親の葬儀のさなか、長い間行方不明になっていた姉の死亡通知が届き、中年ダメ男スミシーは発作的にアメリカ大陸横断の自転車行に出かけます。奇矯な姉に振り回された、しかし暖かい家庭のあった過去を回想しながらの旅がセンチメンタルでユーモラスで・・・。中年ダメ男に妙に共感しました(笑)。




異能の絵師・葛飾北斎とその周辺にいるこれまた奇妙な人物たちを、情緒たっぷりにユーモラスに描いた傑作コミック。




全19巻を昨年内に読み切れるか微妙でしたが何とか読了。腐敗した宋に叛乱を起こした梁山泊の志は、弾圧された学生運動の記憶とリンクしているのでしょう。いかにもな豪傑や快男児ではなく、心の中に鬱屈や弱さや捻れた部分を抱えながら、それでも必死に戦う戦士たちが魅力的で、さすがハードボイルドの旗手だなぁと思います。