本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

大江戸花鳥風月名所めぐり/松田道生 

本書は再読で、前回は7年前に江戸の園芸や行楽に興味があって読んだのだが、今回は野鳥への興味から。著者は野鳥の会関連の方らしく、その方面の著書が多数ある。花見、蓮見、不忍池のシギ、鶯(上野周辺の鶯は京都から移入したとか)、虫の音、蛍、チドリ…

あるブロガーの闘病

畏敬する書評ブロガーhebakudanさんは、広範な読書量と知識、鋭い洞察、ややひねくれた冷徹な批評眼で、読み応えるのあるエントリを書かれて来た。数カ月前から鼻症状の闘病生活を送られていて、しかし意気は衰えず相変わらず面白い着眼点を楽しませていただ…

凸凹デイズ/山本幸久

弱小デザイン事務所を舞台にデザイナーたちの哀歓をコミカルに描いた、著者お得意のユーモアお仕事小説である。ウラハラナミは、エロ本のレイアウト、スーパーのチラシ、包装紙などを手がけるデザイン事務所凹組(才能はあるのにうだつのあがらない二人の巨…

世界一周恐怖航海記/車谷長吉

晩婚の著者は、新婚旅行の時に夫人に「本郷に家を買ってね」と言われておののき、数年間の苦闘の末に千駄木に居を構えた後、今度は「いずれ船で世界一周に連れて行ってね」と言われてまたおののく。著者自身は海外など行きたくないのだが、勝手に旅に出られ…

三国志/柴田錬三郎 

桃園の誓いから赤壁の戦いまで、あっという間に(300ページほど)語られてしまうシバレン版三国志。解説を読むと児童文学として書かれた由が書かれていて、なるほどなと思った。精緻な政治状況の描写とか、戦いに赴く悲壮感やヒロイズムなどは描かれず、…

昭和エンターテインメント叢書

書評家・北上次郎が昭和の娯楽小説の名作を選ぶ「昭和エンターテインメント叢書」が小学館文庫から出版されている。先月は「ごろつき船/大佛次郎」、今月は「大番/獅子文六」だが、埋れた名作を掘り出す企画は楽しみである。この手の物では、以前にも講談…

迎え火の山/熊谷達也

先祖を迎えるためのかがり火を並べる「採燈祭」が久しぶりに計画されている旧盆に、湯殿山山麓に連なる村で三人の幼なじみが再会する。東京で芽の出ないフリーライターをしている工藤、採燈祭を企画した土谷、奇妙な家に育った木村由香の三人は、採燈祭にま…

続 獄窓記/山本譲司

[秘書給与詐取事件で服役した元衆院議員の著者が、刑務所内での触法障害者の実態を記して話題になった獄窓記の続編で、出所してから「獄窓記」を出版し、刑務所内処遇に関しての発信や触法犯罪者の処遇改善に取り組み始めるまでを綴っている。出所した著者は…