本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

安徳天皇漂海記/宇月原晴明

壇ノ浦の波の下に沈んだ安徳天皇は、神器である真床追衾(まとこおうふすま)に守られ眠り続けているという設定で、著者お得意の耽美的なホラーを展開させた時代伝奇小説である。第一部は、鎌倉幕府三代将軍実朝の側近が語る、安徳と実朝の因縁。幼くして海…

「悪所」の民俗誌  色町・芝居町のトポロジー/沖浦和光

二大悪所、色町と芝居町の成り立ちを、お得意の周縁・被差別・河原者などを交えて説き起こしている。この手の「道々の者」的な話は大好きなのだが、評論家の小谷野敦は、遊女に聖性を求めるのはファンタジーであると断じているようだ。芝居の祖である出雲の…

4TEEN/石田衣良 

語り手のテツロー、頭が切れて皮肉屋のジュン、気の良い太っちょのダイ、富裕な両親を持ち、ウェルナー症候群(早老症)のナオトの4人を主人公に、身の回りで起こるやや異常な事件と、変わらない友情を描いた中学生小説。大人が読書対象になっていると思わ…

青雲遙かに 大内俊助の生涯/佐藤雅美

幕末の江戸、昌平坂学問所で学問(儒教)を修めるために仙台藩から上京した大内俊助は、最初は向学の志に燃えていたが、江戸に馴染むに連れて生活が自堕落になり、朱子学の考え方にも疑問を持つようになる。ほとんどの留学生は、身を立てるための手段として…

江戸の繁盛しぐさ  こうして江戸っ子になった/越川禮子 

最近、朝日夕刊のマリオン欄に江戸のマナー「江戸しぐさ」に関するコラムが出ており、興味があって読んでみた。著者はマーケティングか何かの会社の経営者らしいが、「江戸の良さを見なおす会」の芝三光(しば・みつあきら)氏に教えを請い、江戸しぐさの詳…