本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

漢字とハングル

一ヶ月ほど前に書き始めてから放置してしまった文章なので、ネタが古いですがご容赦ください(笑)。


漢字が読めないひとのせいで漢字本がブームだとか、漢字検定協会儲けすぎけしからんとか、理事長は謝りたくないから会見を開かないらしいとか、漢字周辺の話題をしばしば聞く。

漢字検定については以前から懐疑的だった。旧文部省公認となる時に識者(誰だったかは失念)が「難しい字を知っているから日本語を正確に使えるとは限らない」と言っていて、強くうなづいたものである。漢字検定1級とかの天才ちびっ子の「いくら難しい字を知っていてもその実態を知らない」ような状態をテレビで見たこともあるっし・・・。世界の国旗を暗記しているのと変わらず、正に「日本語が使えるとは言えない状態」だと思った。

翻って言えば、漢字が読めなくとも意味が取れていればまだましにも思えるが(決してノープロブレムではないが)、政治家は言葉で伝える商売だから、言語力がなければ信頼されないんだそうである。

漢字検定協会に話を戻せば、理事長が一代で始めた事業であり、「俺が始めたもので俺が儲けて何が悪い」という意識があったんではないだろうか。営利事業ならそれで良かったかもしれないが、公益事業である。英検の母体は旺文社だったと思うが、歴史もあるし、その辺はきちんと処理されているのだろう。

漢字検定のテキストを見る限り、読み書きだけなら2級に合格する実力があると思う。しかし悲しいかな書き順と部首の知識が中途半端なので多分不合格・・・(文句は合格してから言え!というご非難には知らん顔をする(笑))。

読めない漢字と言えば、中国史小説で人気がある宮城谷昌光作品の漢字は難しい。普段の日本語では使われないような熟語が多用(濫用?(笑))されていて、意味を取るのに困る。あの難解さが中国史らしさを演出している側面もあるとは思うが・・・。

韓国でも漢字ブームだそうである。漢字圏である日中韓の交流のために有益と考えているようだ。戦後の民族主義からハングル一辺倒になっていたせいで、自分の名前すら漢字で書けない若者がいるという話は以前から聞いていたが・・・。韓国語の語彙の七割は漢語由来だと聞いたことがあるが、平仮名のみで書かれているようなハングルの文章は非効率的だろうから、漢字教育の復活は悪いことではないと思う。日本人観光客にとっても便利だろうし・・・。

因みに、ハングルは母音と子音の組み合わせで表記されている。15世紀くらいに出来た文字であり、舌の形が元になっているそうだ。文字だけ覚えるのはわりあい簡単で、以前に独学したことがあるので(そして挫折したことがあるので)一応発音は分かるが、かと言ってすべての意味が取れるわけではない。

韓国語と日本語の文法は良く似ており、慣用的な言い回しにも共通するものが多い。それなのに語彙と発音が激しく違っているのは不思議な話だ。母音と子音で構成され、更にパッチム(終末子音)というややこしいものが存在するハングルにはリエゾンが付き物であり、これを聞き取るのは凡耳には大変に難しいが、語学の春(?)だし、NHKラジオの講座で再挑戦してみようかと考えている。

なにか漢字からハングルの話題になってしまったが、まぁ、漢字は何かと便利だという結論である。