本・花・鳥(ほん・か・どり)

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石巻へ

三月の大津波で行方不明となった叔母の葬儀兼叔父の一周忌に出席するため石巻へ行ってきた。

父が若いうちに東京に出てきて自分は神奈川育ちだが、以前、祖父母の家は津波で壊滅した南浜町にあったので子供の頃に二度ほど訪れている(祖父の死後、本家の伯父が居を仙台に移した)。また、父兄弟の四男である叔父が亡くなった後、叔母もこの南浜町に暮らしていたのである。

前日、仙台の秋保温泉に泊まり、仙台南部道路→東部道路→三陸道で石巻へ。作業・支援の車や被災者の無料化で渋滞が懸念されたが、よそ者にはやはり一番分かりやすいので三陸道を使ってみたところ、南部道路のジャンクションがやや詰まっていたものの、後は難なく到着。被災者は一般レーンに行列せざるを得ず、ETCの恩恵を今までで一番感じたものだった。

石巻港インターを降りて走行中にメールが入り、車を止めて確認したら、後ろから仙台の従兄一家の車が。葬儀場への道が分からないと言うので前を走ったが、なぜ石巻で神奈川県民が元石巻市民を先導しなければならないのか(笑)。

秋保から一時間半で到着してしまったので、喪主である従弟に断って一旦父祖の地へ(従弟が、沢山見てきて世間に広めてくれと言う)。ニュース等で門脇町・南浜町の状況は分かっていたつもりだったが、異臭と蠅の多さと道路の陥没はテレビでは伝わらないことが分かる。なんで四ヶ月も経つのにこの状況なのかと思う。今頃になって「がれきの処理は国の事業で」などとやっているのだから何をか言わんや。被災地対策は拙速を尊ぶものだろう。駄目だったら走りながら訂正していけば良いのだ(叩かれるのは権力者の宿命だから致し方ない)。ホントに今の政権は臨機応変と言うことが出来ないなと思う。


余談だが、今朝の新聞に「がれきの片付けは全体の35%」とあった。石巻は全被災地の中でがれき量が最多で、片付いたのは14%に過ぎないらしい。南浜町のがれきは一応は片付いているが、家の基礎などはそのままだし、道路には冠水による水たまりが出来ていた。

門脇小学校。白っぽいがれきは何か白骨のようだ。


日和山公園からの眺望。


中瀬公園。一応片付けは終わっているのか。左手のキノコのような建物は石ノ森漫画館。中央に見えるモーターボートはおそらく権利関係で片付けられないのだろう。中央右の旧ハリストス正教会は由緒ある木造の建造物で、あんなに古い建物が津波に耐えたことが奇跡的に思える(とは言ってもかなりのダメージを受けてはいるらしい)。


ちょうど一年ほど前の中瀬


震災・津波災害後、石巻の医療を一手に背負った石巻赤十字病院と向い側にある山(愛宕山というのだろうか)。駐車場でオオヨシキリの声が聞こえていたが、渡り鳥が来るのだから大丈夫なんだと思いたい。


十年来ネットでお付き合い頂いている方が石巻在住で、今回、お勤め先へご挨拶に立ち寄らせて頂いたが(コーヒーをごちそうさまでした)、ご自宅はご無事だった由。良かった良かった。

このように石巻は風光明媚な町だ。この美しさを早く取り戻して欲しいと思うのはもちろん部外者の勝手な思惑に過ぎないが、町に美しさが戻れば人の暮らしだって普通に送れるようになるはずなのだ。


と言うわけで上っ面を見てきただけのよそ者の訪石記。何も復興の役には立たないけれど、少しでも東北への関心を維持し続けて頂ければ幸甚です。