本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

今昔続百鬼-雲/京極夏彦

著者お得意の妖怪ミステリー。基本的に怪異はなく、自称妖怪研究家の多々良勝五郎(傍若無人で自分勝手な迷惑親爺)と、語り手の沼上(伝説好きで、多々良を一応センセイと呼んで迷惑がりつつ僅かに敬っている)が地方を旅しながら出くわす事件を描いたドタバタ珍道中ミステリーである。


一篇が文庫本一冊ほどの分量で、それが四篇あるのだから大ボリュームの弁当箱本(笑)。事件よりも妖怪や怪異に関する蘊蓄が多く語られていて、まぁこのあたりが京極人気の訳なのだろうが、門外漢からすると早く話が進まないかなぁと言う感じはある。


基本的にユーモラスな進行なのだが、最終話の「古庫裏婆」だけはホラーミステリーの雰囲気で、なかなかにスリリングだった。京極堂も登場。大ボリュームに辟易しつつもやっぱり面白かった。


著者の作品は数冊を読んでいる程度なのだが、作品世界が多岐に広がっていて、全てを網羅するのはむずかしそうだ。