本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

ドリトル先生航海記/ヒュー・ロフティング

シリーズの中で子供の頃から一番親しんで来た作品。数十年ぶりに読んでみたが、内容は結構忘れていないものだ。このシリーズではドリトル先生の助手を務めるトミー・スタビンズ少年が語り手になるものと、三人称で書かれるものがあるが、本作でトミー少年とドリトル先生が初めて出会っている。

貧しい靴屋の息子トミーは生き物好きの少年で、タカに襲われてけがしたリスを保護する。どうしたらいいか分からないでいるところに、仲良しの老人マシュー・マグにドリトル先生に見せればいいと言われて、訪ねてみるが、ドリトル先生がは旅に出て不在、何度か出直しているうちに幸福な出会いをすることになる。

博物学者のドリトル先生は、ゴクラクチョウを介して知り合ったアメリカ先住民のロングアローに同業者として非常な尊敬を抱いているが、消息不明になっていることを知る。そしてトミーを連れてロングアローを探すため波乱万丈の冒険旅行に乗り出すのだった。動物語を解するドリトル先生故に、様々な動物との関わりがあり、魚にインタビューしたり、イルカに助けて貰ったり、様々な行く立てが楽しい。

博愛で親切で思いやりがあって(どれも同じか(笑))、非常に魅力的なドリトル先生だが、未開人への差別意識のあるところがいかにも前時代的で植民地主義がぷんぷん匂う。時代の認識からは逃れられないのだなぁと思う。

お話としては、動物たちとのやり取りと波乱万丈の冒険が何とも楽しく、十分に面白かった。