本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

紅梅や・・・


よく利用する図書館は私鉄沿線の住宅街にあり、山林を開発したような地域なので多少の畑が残っている。実梅を採るための白梅林の中に二本だけピンク色の梅が植えてあるが、白梅はまだ一分咲きくらいなのにピンクの方は今が満開だ。

こんな景色で思い出すのは「紅梅や枝々は空奪ひあひ/鷹羽狩行(たかはしゅぎょう)」という俳句である。25年くらい前に「折々のうた朝日新聞一面に連載されていた詩歌コラム)」で読んだもので、気分は良く分かるので覚えてしまったが、やや理詰めの感じもする。頓知的とでも言うのだろうか。こういうひねりは川柳に任せておけば良いと思う。

鷹羽狩行氏は、自分が俳句に漠然と興味を持ち始めた頃、NHK俳壇の選者をしていて、ユーモラスな話ぶりと解説の的確さに感じ入ったものである。作品の抒情性もわりあい好きだったが、昨今、テレビの俳句番組でしゃべっているところを見ると、有季定型俳句の原理主義者の感じがして、何やらうるさ型の爺さんだ(笑)。

遊びはルールがあるからこそ面白いのだし、基本はきちんと抑えていなければ応用はない。しかし、些末なルールに囚われすぎると遊び心を失ってしまいそうな気もする。実作をしない者のたわごともかもしれないが・・・。