本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

添削

三月の甘納豆のうふふふふ
桜散るあなたも河馬になりなさい


坪内稔典氏は現代俳句を代表する一人で、上記のようなとぼけた味わいの口語俳句を得意としておられます(とぼけているだけではなく、かなりぶっ飛んでいることも魅力です)。つぼうちとしのりが正しい読みらしいですが、斯界ではネンテン先生と呼ばれることが多いようです。

ネンテン先生は船団の会という俳句結社を主宰されていまして、ここのHPには、句作をしない私のような人間にも興味深いコンテンツが多々ありますが、投稿された俳句を船団の中堅俳人が添削するクリニックを拝見するのが毎日楽しみです。

楽しみと申しましても、正統に俳句を学ぼうというわけではなく、揚げ足取りのツッコミを入れつつ閲覧するのが楽しくて(笑)。自由な句風のはずの船団なのに、妙に教条的だったり、句意を読み違えていたり、季語を知らなかったり・・・。俳句番組でも、添削して語調だけ整え却って原句の新鮮さを削いでしまうことが多々見られますが、そういうのにけちを付けるのもまた楽しみなヒネクレ者でございます。

俳句という文芸は、作者と読者がいて成立すると言われます。句会と言うような公開の場にかけてさまざまな読解がされることが肝要なようで、俳壇の巨人高浜虚子は「選は創作なり」という名言を残しているそうです。

十七文字で綴られ、「省略」を旨とする短詩形ですから、作者の思いのすべてが伝わるとは限らず、読者の想像に任せるのも俳句の妙味なのですが、どうも現在の船団の添削担当者は些末な文法にこだわるあまり、完全に句意を取り違えていることがよく見られます。「説明」「言い過ぎ」が禁忌とされている割りに、説明しすぎないと今度は「何だかよく分からない」という評を貰うことにもなりま

俳人には国語教師という人がよくありますが、この人もそのようです。有季定型というルールの上で精神的に遊ぶのが俳句だと思いますし、あらゆる遊びはルールがあるからこそ面白いのですが、ルールにこだわるあまり「木を見て森を見ない」事態になるのは本末転倒だと思うのでございました。

しかし、実作をしない人間がここまで批判めいたことを書いても良かったのでしょうか(汗)。句作をなさる皆様には失礼致しました。