本・花・鳥(ほん・か・どり)

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須田剋太

うらわ美術館で「生誕100年記念 須田剋太展 生命の讃歌」が開催中です。

この人の画業についてはあまり良く知らないのですが、司馬遼太郎の「街道をゆく」シリーズのイラストを描いていた人なので、荒削りで迫力のある画風は記憶に残っています。

司馬遼太郎歴史小説についてはあまり良い読者ではありません。小説としてはそれなりに面白いとは思うものの、のべつあちこちに顔を出す作者の考察が鬱陶しく、「俺は物語が読みたいんだ!」と思うこともしばしばでした。その点、考察だけを書いているのでこのシリーズは心静かに読むことが出来ます(笑)。

街道をゆく」は、土地に残る歴史を詩情豊かに綴った紀行文学の傑作だと思いますが、旅の同行者をユーモラスに描写するあたりも魅力であり、須田剋太氏の幼児のように純粋で無邪気な奇人ぶりも相当に楽しいものでした。

アイルランドに取材した「愛蘭土紀行」では、体調不良だった須田氏は同行することが出来ませんでしたが、過酷な環境の中でひたむきに生きているアラン島の人々の話を司馬氏から聞いて感動し、「わっちはもうアラン島に住みます」と決意してしまうあたり、面目躍如という感じでしたね(笑)。

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