本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

お師匠さまは魔物!/ロバート・アスプリン

ふざけて幼稚なタイトル、漫画のような表紙からやや敬遠していたが、面白いという評判もあるので手を出してみた。ドタバタファンタジーである。うだつの上がらない魔法使いの弟子スキーヴ(泥棒に役立てようと目論んで魔術を学んでいる)に、師匠ガルキンが…

わくらば日記/朱川湊人

不思議な能力を持つ姉と過ごした昭和30年代の下町の日々を、年老いた妹が回想して語るノスタルジック・ファンタジー。妙に上品な女子学生風の語り口は「リセット/北村薫」を思わせる。活発だった主人公ワッコの姉・鈴音は病弱な美少女で、気持ちも優しく…

ドミノ/恩田陸

東京駅を舞台に、和菓子の老舗「どらや」の紙袋を取り違えたことから起こる騒動を描くスラップスティックなサスペンス。アイディアは映画「おかしなおかしな大追跡」だろうが、もっとシニカルだ。 爆弾を仕掛ける過激派、句友とのオフ会を楽しみにしている実…

仲蔵狂乱/松井今朝子

凄まじくも超絶に面白かった歌舞伎芸道時代小説。長屋の孤児が、長唄と踊りの師匠夫婦のもとに養子として貰われ、歌舞伎役者として大成する人生を描いている。時代小説大賞受賞作で、歌舞伎芸道小説は苦手な分野かなと敬遠していたが、読んでみたら先鋭的に…

おまけのこ/畠中恵 

回船問屋長崎屋の病弱な若旦那・一太郎を主人公に、妖との奇妙な事件を綴るユーモア時代ファンタジーシリーズ第4弾。情緒のある逸品が揃っている。「こわい」出生が定かでない、嫌われ者の妖・狐者異(こわい)が長崎屋に現れ、自分の頼み事を聞いてくれた…

カポネ/佐藤賢一

西洋史を舞台にチャンバラ小説を描く佐藤賢一が、何故か伝説のギャングアル・カポネを採り上げた。前半は、才覚と度胸で成り上がっていくカポネの半生、後半はアンタッチャブルのエリオット・ネスの視点から描かれている。貧しいイタリア移民の子供アルフォ…

湯島の白梅

所用でお茶の水へ行くついでに梅の名所の湯島天神へ。未だ五分〜七分咲きくらいで残念。「探梅」「観梅」という季語がある。 「探梅」は、俳句の方ではつぼみが固いうちに梅の風情を楽しみに行くことであるが、本来の意味は、山に入って野生の梅を探すことで…