本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

お師匠さまは魔物!/ロバート・アスプリン

ふざけて幼稚なタイトル、漫画のような表紙からやや敬遠していたが、面白いという評判もあるので手を出してみた。ドタバタファンタジーである。

うだつの上がらない魔法使いの弟子スキーヴ(泥棒に役立てようと目論んで魔術を学んでいる)に、師匠ガルキンが魔物を召喚する技を見せていたところ、この世界や異世界までを支配しようと考えている巨悪の子分によってガルキンが殺されてしまう。

召喚された魔物は実は異世界の魔法使いで、弟子を驚嘆させる目的でガルキンと交互に魔物を演じていたのである。現れた魔物は、師匠のいなくなったスキーヴを仕込んでやると、押しかけ師匠になってしまう。押しが強く減らず口叩き、しかしやる時はやる的な頼りがいのあるオゥズに辟易しながら、頼りない小僧スキーヴは、いやいや、巨悪を倒す旅に付き合う羽目になり、珍道中が始まるのだった。

タフなベテラン、頼りないが見どころのある若僧、これにからむセクシーな女魔物とくれば、何やら警察物やサスペンスやハードボイルドなどでお目にかかる設定のような気がする。映画「スティング」などもそうだろう。そう、これはハードボイルド・ファンタジーなのである(笑)。

ギャグを散りばめたユーモア・ファンタジーらしいが、翻訳でどこまで伝わっているのか疑問。もっと笑わせてくれても良いような気がする。各章に思わせぶりなエピグラムがあるが、これは作者の創作らしい。ダース・ヴェイダーまでが登場しておかしい。