本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

発酵文化人類学/小倉ヒラク

仕事に遊びに邁進しているうちに体調不良となり、発酵食品によって改善したという著者(デザイナー)が発酵の魅力に目覚め、発酵デザイナーを名乗り、発酵の奥深さをPRする。

化粧品会社の同僚である味噌屋の娘に連れられて発酵仮面小泉武夫教授を訪ねた際、「お前っ、さては免疫不全だな。味噌汁を飲め。納豆と漬け物を食え。」と一目で見抜かれる場面が笑える(笑)。

手前味噌と言うくらいで、元々各家庭が手作りしてきた発酵食品の歴史を文化人類学の手法で解説しているが、レヴィ・ストロースなどを引用した考察は正直なところよく分からない。

昨今、味噌作り講座が多忙を極めたり、行政が伝統的な発酵食品で地域興しを考えるなど、発酵がブームになっているという記述もあり、そうか、そんなことになっていたのかと蒙を啓かれた気分でもある。そういえば菌活なんて言葉くらいは聞いたことあるし・・・。

味噌、醤油、日本酒、酢など、どれも麹による発酵の産物で、それがなぜ別の製品になるのか、以前から不思議だったが、その過程が少し分かったのが収穫。ワインにはあまり向かない甲州ブドウで醸されてきた甲州ワインの歴史なども興味深い。