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NHKスペシャル「“魚の町”を守れるか」

昨日、NHKスペシャル「“魚の町”を守れるか」を見た。被災地気仙沼で、中小企業を支援する信用金庫の苦闘を描いたドキュメンタリーだ。

ある水産加工業者は工場を根こそぎやられ、今までの負債にくわえて再建資金が必要だったが、メインバンクはけんもほろろの扱いで、地元の信用金庫を頼ってみると、全額というわけには行かないが何とか知恵を出して公的融資などの筋道を付けようとする。

するとメインバンクがてのひらを返したように「それはうちでやるから」などと言ってくるのである。「乗り換えたいんなら今までの負債をすっぱり返して貰おう。でも信金はそこまでは融資しないだろうから、結局うちとやっていくしかないんだよ」とは何とア○ギな・・・。

結局、信金が負債の借り換えに応じることを決断し、巨額の融資をすることになったが、メインバンクにとっては、不良債権化するかもしれないリスクを解消したわけで、むしろそれが目的で業者に追い込みをかけたんじゃないかと思ったりする。

金融業は慈善事業ではないので、すべてにいい顔をすることはないだろう。しかし、ことは復興である。地域経済が回り出せば復興にもつながる訳だし・・・。晴れの日に傘を貸す、などと言われる銀行業だけどね。

トリアージというのは、緊急に手を施せば助かる患者、手を施しても無駄な患者、後回しで良い患者など、災害医療でランク付けをすることだ。医療資源を効率的に使うための知恵だろうが、経済危機になると企業のトリアージも取り沙汰される。緊急融資をすれば生き延びて利益を生む企業と、融資しても無駄な企業を見分ける目こそが金融機関の能力であり、何でも貸しはがせば良いというものではあるまい。

地元経済を守ろうとする信金の熱い戦いがスリリングで見応えのあるドキュメンタリーだった。