本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

丸太の鷹/火浦功

スチャラカなんちゃってハードボイルド「ハードボイルドで行こう」の続編。遅筆で有名な火浦作品を読むのは多分20年ぶりくらいになる。

正統派ハードボイルドに憧れる私立探偵山本辰吉、おとぼけC調脳天気な助手銀次、銀次より多少マシなくらいのアシスタント絵里の、下北沢探偵公司の面々がぶちかましてくれるシュールかつギャグまみれのハードボイルドもどきは今読んでも大変に面白い。思わず脱力するようなしょうもないパターンが笑わせてくれる。

初期のSFも収録されているが、浦島太郎的に現れた恐竜との交流がしみじみと切ない「ウラシマ」が良い。スチャラカだけの作家ではなかったことの証明だ(笑)。


火浦作品では、マッドサイエンティス見習いのみのりちゃんシリーズ(「日曜日には宇宙人とお茶を」「大冒険はおべんともって」はいしかわじゅん画伯のカバーイラストも良い)や痛快活劇SF「高飛びレイクシリーズ」など、奇想とギャグに彩られた初期のSFは大変に面白かったものだが、おそらく15年ほど前からぱたりと執筆ペースが落ちている。かつてファンだった自分は、ついmixiで「火浦功が新作を書いてくれない!」というコミュに参加してしまった(笑)。