本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

アナンシの血脈(上・下)/ニール・ゲイマン 

不器用で冴えない大男ファット・チャーリーには普段疎遠にしている父親がいる。この、愉快でおしゃれで女好きで傍迷惑な道楽者の父親が亡くなったという知らせがあり、葬儀に赴くと(ここですでにファット・チャーリーは大間抜けさを披露してくれる)、昔の…

からくり儀右衛門

幕末のからくり人形の名手 からくり儀右衛門こと田中久重の弓曳童子。 以前テレビで見たことがありますが、この的に矢を当てる人形は、何本かに一本は失敗するように仕掛けがされているそうです。おそらくぜんまいと歯車の複雑な組み合わせによるものなので…

伝統の朝顔

千葉県佐倉市の国立歴史民族博物館に、くらしの植物苑という一画があります。博物館サイトによると「くらしの植物苑は、生活文化を支えてきた植物を系統的に植栽し、その理解をより深めることを目的として、博物館の南東に位置する旧佐倉城の一郭に開設され…

丑三つの厨のバナナ曲るなり/坊城俊樹

著者は高浜虚子の血を引く俳人で、俳誌「花鳥」編集長である。俳句の保守本流にいながら、風雅な花鳥諷詠のみを教条的に主張する俳壇に懐疑的な目を向けているのが面白い。著作名になっている句自体かなり奇をてらった感があるが、気分は出ているし楽しい。…

紙の迷宮(上・下)/デイヴィッド・リス 

18世紀初頭のロンドンで、異教徒として蔑まれるユダヤ人の支配する金融をモチーフに、人々の様々な思惑が絡み合った時代ハードボイルドである。元ボクサーで、盗賊捕獲人、盗品探し、その他もめ事解決を生業としているベンジャミン・ウィーヴァーは、ユダ…