植木屋の徒弟、ちゃらの活躍を描く園芸時代活劇とでも言うべきか。
浮浪児であったちゃらは、かっぱらいの現場で植木屋の辰蔵に拾われ、見習いとなる。やんちゃで向こうっ気の強いちゃらだったが、親方の指導に従って腕を上げていった。
辰蔵を始め、お人好し揃いの植辰だが、やもめの辰蔵の一人娘、お侠なお百合は家計のやりくり算段に頭を悩ませ、酒ばかり飲んでいる父親に小言を喰らわせる。気の強い江戸娘で、まぁいずれはちゃらとどうにかなるんじゃないかなと思わせる。
その頃、江戸の庭好きの間で「嵯峨流正法」を名乗る作庭家がブームとなっている。作庭に仏法を取り入れてという触れ込みだが、多くの信奉者はカルトの信者のごとくであり、いかにも胡散臭いが、これが植辰に暗い影を落とすのだった。
徐々に嵯峨流正法に追い込まれていく植辰の面々がいかにして対決するか、最後までスリリングな展開はミステリアスでもあり、活劇的な要素もあって十分に楽しめる作品だった。
- 作者: 朝井まかて
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/12/14
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る