本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

冬の炎/グレン・エリック・ハミルトン

休暇中の軍人が祖父の襲撃された事件の謎を解明する、センチメンタルでハードなミステリー「眠る狼」の続編。


退役したバン・ショウはすることもなく、祖父の旧友ウィラードから「恋人のケンドと山小屋に行った姪のエラナから連絡がないので見てきてくれ」という依頼を引き受ける。そしてその山小屋ではカップルが死んでいて、無理心中のような様相であった、というのが発端である。


エラナとは旧知の仲であり、何か納得出来ないものを感じたバンが独自に調べ始めると、ケンドはギャンブル狂いで、悪辣な高利貸しのカモにされていたことが分かってくる。そしてケンドの父親である大立て者が絡んできたり、家に爆弾を放り込まれたり、波瀾万丈の活劇が展開されるのだった。


プロの泥棒である祖父に薫陶を受けたバンは盗みの技術を会得しているし、非合法的な行いにも禁忌を持たないし、特殊部隊あがりで戦闘の達人なのだから、この手の主人公には打って付けであろう。

バンの恋人ルースは気の強い自立した女性で、叔父がドノの友人であることから、犯罪者の世界を知っているが、真っ当に生きており、トラブルになると生き生きするバンには懐疑的である。このあたりの男女の機微も読みどころ。


物語は二転三転し、最後にはとんでもない結末が待っているが、謎解き的な要素もあり、サスペンスとアクションが矢継ぎ早に展開される快作であった。